すきコレ

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【展覧会】「印象派からその先へ- 世界に誇る 吉野石膏コレクション」展@東京丸の内・三菱一号館美術館のレポート(2020/1/10 鑑賞)

自称アート・リポーターこと、よろコンです。

 

※ 2020/5/3時点、重大事態宣言により東京は新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、外出自粛の状況にあり、多くの美術館が臨時閉館となっています。今回も過去に訪問した展覧会について、レポートします。

(本ブログでは既に完了した展覧会も含め、好きな展覧会をレポートしていきます)

 

今回は、今年(2020年)1月10日(金)に訪問した

 

「印象派からその先へ-世界に誇る 吉野石膏コレクション展@三菱一号館美術館

 

 です。

 

金曜日夜のナイト・ミュージアムに最初訪れて、さらに2回見に行きました。なぜ、何度も見に行ったのかと言いますと・・・

近代から現代にかけたヨーロッパ絵画の流れを丁寧に押さえつつ、穏やかで優しい気持ちになれる展覧会でした。 今回も最後までお読みいただけますと幸いです。

 

【目次】

 

※ 以下の記述は展覧会の解説、図録、パンフ、その他WEB上の資料やBS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」等を参照の上、記述しております。また、絵画の写真は購入した展覧会図録を撮影しています。

 

1. 展覧会概要

(1) どんな展覧会か

コレクションの所有者である吉野石膏株式会社さんは1901年に山形県吉野村(現・南陽市)で石膏原石の採掘を開始したことを起源とし、以来、石膏ボードを中心とした建材の製造販売・研究開発をされている会社です。

1970年代から日本近代絵画、1980年代後半からフランス近代絵画の蒐集を開始されているとのこと。コレクションの歴史は長くありませんが、印象派から、キュビズム、フォーヴ、抽象絵画、エコール・ド・パリと近代絵画の流れを押さえた秀逸な作品が集まっています。特にシャガールのコレクションは日本でも有数。

一部作品は山形美術館・天童市美術館に委託され、定期的に展示されています。

 

(2) 開催概要

 ・期間:2019/10/30(水) - 2020/1/20(月)

 ・会場:三菱一号館美術館(東京丸の内)

 ・チケット:一般 1700円、大学生・高校生 1000円、小・中学生 500円

 ・作品数:72点

 ・写真撮影:NGでした 

 ・Webサイト:

(三菱一号館美術館のページ)

www.artagenda.jp

(美術館外観)

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(入り口のパネル)
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(まだイルミネーションがキレイな季節でした)

 

(3) パンフレット

(表面)

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(パンフの表紙は

ピエール=オーギュスト・ルノワール「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」1887 パステル/紙 61.0×49.2cm

パステル画というところが、またやさしい感じで良いです)

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(裏面)
 

(4) 行くきっかけ

「日経おとなのOFF」の1月号を見て知っていましたが、日本の企業が蒐集したコレクションということで、興味を持ち、見に行こうと思いました。印象派中心ということもさらに行く動機になったと思います。

 

2. 展覧会の中へ

(1) 訪問日・混雑状況

訪問日:2019/1/10(金) 晴れ 18:40頃訪問。

鑑賞時間:約70分

混雑状況:1/10に訪問した時も、結構、混んでいましたが、まだ、ゆっくり見ることができました。

そして、ここで私は4000円で年間サポーターになりました。サポーターになると1年間、何回でも展覧会を見に行けます。なので、この後、会期末までに2回(計3回)足を運んでいます。やはり、会期中最後の日曜日はかなり混んでいて、ゆっくり見られる感じではなかったです。ゆっくり見るには早めに行くことは大事ですね。

サポーター制度についてはこちらを。いろいろな特典もあります。

サポーター制度とは? | 新しい私に出会う、三菱一号館美術館

好きな時に絵を見られる贅沢。何度も行くなら、とてもおススメです。

 

  それでは美術館に入ります。

 

(2) 展覧会の構成

シンプルに時代を追いながらコレクションが展示されていました。そして最後はシャガール部屋に。

 

1章 印象派、誕生 ~革新へと向かう絵画~

2章 フォーヴから抽象へ ~モダン・アートの諸相~

3章 エコール・ド・パリ ~前衛と伝統のはざまで~

 

(目録の館内図)

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  印象派中心ですが、それ以降の時代の作品も多く、幅広い時代にまたがる充実した内容だったと思います。それでは、作品を見ていきましょう。

 

(3) 気になる作品

  まずは「1章 印象派~」の作品から。

 

最初は印象派前の作品

 

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(ジャン=フランソワ・ミレー「バターづくりの女」1870 油彩/カンヴァス 98.4×62.2cm)

1870年サロン出展作。右下のタイルにはミレーのサインも。

 

そして、印象派へ

「モレの巨匠」シスレー
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(アルフレッド・シスレー「ロワン川沿いの小屋、夕べ」1896 油彩/カンヴァス 65.0×81.0cm)

1899年1月末、喉頭がんにて亡くなったシスレー。シスレーとモネとルノワールは同じ画塾の友人。生前、経済的に困窮していたシスレーを思い、モネが中心となり、シスレーの残された子供たちのため、展覧会兼オークションが開催されます。そのとき、9000フランと高額で売れた作品とのことです。

 

次はルノアール
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(ピエール=オーギュスト・ルノワール「箒をもつ女」1889 油彩/カンヴァス 65.0×46.0cm)

先程のシスレー追悼の展覧会兼オークションに出品された作品。4000フランの値を付けたとか。シスレーのための展覧会だったのでシスレー作品がいかに高額だったかが分かります。


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(ピエール=オーギュスト・ルノワール「幼年期(ジャック・ガリマールの肖像)」1891 油彩/カンヴァス 64.0×50.3cm)

見た目は女の子のようですが、男の子です。当時のヨーロッパでは女の子の方が健康で生存率が高いことから男の子も子どもの頃は女の子の格好をさせたとか。口の中央に黒い点があるのですが、歯が生えそろっていないことを表現したとか。子どもらしさ溢れる作品です。

 

 そして、モネ。

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(クロード・モネ「サン=ジェルマンの森の中で」1882 油彩/カンヴァス 81.0×65.0cm)

赤、黄、緑といろいろな色に彩られた木々の葉が包む森の道。その奥に吸い込まれていくようです。道を囲む森は大きな瞳のようにも見えますが、いかがでしょう?

 

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(クロード・モネ「テムズ河のチャリング・クロス橋」1902 油彩/カンヴァス 73.0×100.0cm)

ロンドンの霧に河を渡る機関車の煙が混ざり合い、幻想的な光景を作り出しています。

モネ曰く「もしも霧がなかったら、ロンドンは美しい街ではなかっただろう。霧こそが荘厳な美を街に与えているのである」


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(クロード・モネ「睡蓮」1906 油彩/カンヴァス 81.0×92.0cm)

モネの睡蓮です。こちらは、2年前に横浜美術館で開催されたモネ展にも展示されていました。

美術展:「モネ それからの100年」展@横浜美術館に行ってきました。 - よろこんで!**してみました。

 

最後、ピサロです。
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(カミーユ・ピサロ「暖をとる農婦」1883 油彩/カンヴァス 73.2×60.0cm)

ピサロが人だけを大きくとらえた絵は、比較的、珍しいように思います。右に赤く見えるのが暖炉、足元には犬でしょうか?こちらはゴーガンが所持していた絵とのこと。株取引の仕事から専業の画家になった年の作品で、ピサロはゴーガンとともに暮らして絵の手ほどきをしたこともあるようです。

 

  このほかセザンヌ、ゴッホ、ドガにカサットと多数の作品が展示されていました。

 

  つづきましては「2章 フォーヴから抽象へ~」です。

 
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(ジョルジュ・ルオー「バラの髪飾りの女」1939 油彩/カンヴァス 71.0×61.0cm)

暗い背景から聖母が浮かび上がるかのよう。


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(アンリ・マティス「静物、花とコーヒーカップ」1924 油彩/カンヴァス 61.6×50.8cm)

フォーヴの代表、マティスの花。画面左は赤が中心の花々。画面右のコーヒーカップや花は黄色が主体。装飾的な背景の緑とそれぞれの色がそれぞれを引き立てるかのようです。


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(モーリス・ド・ヴラマンク「大きな花瓶の花」1906-1906頃 油彩/カンヴァス 104.3×52.5cm)

もう一人フォーヴから。ブラマンクの花。こちらも黄色の背景、緑の葉、赤い花に花瓶がそれぞれを鮮烈な色に引き立てています。


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(ワリシー・カンディンスキー「結びつける緑」1926 油彩/カンヴァス 84.0×57.5cm)

形を解放したキュビ、色を解放したフォーヴ、そして絵画はついに抽象画へ。こちらの絵はヴァイオリンの低音の響きを表現しているとか。よく見るとバイオリンやその弦が見えてくるかも・・・

 

  ここでは他にピカソ、マルケ、ボナール等の作品も。

 

最後は「3章 エコール・ド・パリ~」です。


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(マリー・ローランサン「五人の奏者」1935 油彩/カンヴァス 81.0×100.0cm)

ローランサンの作品は幻想的で柔らかなイメージです。こちらも音楽の調和を表現したとか。同じ音でもいろいろな表現があります。

 

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(モイーズ・キスリング「背中を向けた裸婦」1949 油彩/カンヴァス 73.5×54.5cm)

こちらは、ドミニク・アングルの「ヴァルパンソンの浴女」

浴女 - Wikipedia

さらにはダダイズムの巨匠、マン・レイ「アングルのヴァイオリン」へのオマージュ。モデルはマン・レイと同じくモンパルナスのキキ。今回の展覧会ではいちばんの好きな作品でした。

 

そして、最後はシャガール部屋へ。シャガールの作品が多数展示されています。

その中から・・・
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(マルク・シャガール「夢」1939-44 油彩/カンヴァス 78.7×78.1cm)

最愛の妻・ベラが急逝した年の作品。5年に渡り作品を描き続け、ベラが亡くなった直後は筆も持てなかったシャガールが立ち直る過程で完成させた作品。浮遊する花嫁はベラなのでしょうか。悲しくも優しい一枚


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(マルク・シャガール「グランド・パレード」1979 油彩/カンヴァス 120.0×132.0cm)

 

マルク・シャガール92歳の作品。シャガールの大好きなサーカスを描いた大作。鮮やかな色遣い、 シャガール作品によく登場するヴァイオリン弾きや馬など。まさにファンファーレ鳴り響く人生のグランド・パレードとして描かれたようです。

 

さて、展覧会の途中ではレンガの部屋で撮影コーナーも(全部、模写です)

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ドガの描くバレリーナ。パステル画です。


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パンフ表面に掲載のルノアールの描いた少女


f:id:YoroCon:20200502190457j:image 先程のモネの睡蓮

 

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近づいてみると、モネの森の道に実際に入り込んだかのよう

 

ということで、展覧会はここまで。

出口を抜けてミュージアムショップへ。

 

(4) ミュージアムショップ

図録です。  

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 絵ハガキです。

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あと、フランスのバジルのマスタードやあんずジャムを買って家で食べてました。美味しかったです。特にバジルのマスタードはあまり辛くなくて酸味も良く、野菜につけて良し、肉につけてもさっぱりと美味しくいただけました。

 

3. さいごに

吉野石膏コレクションは2001年11月10日~12月24日の渋谷・東急Bunkamuraのコーポレートアート展でも今回展示されたのと同じ多くの作品が来ていました。また、どこかで見ることがきっとあるでしょう。ますますコレクションが成長し、さらに目にする機会が増えればと今後に期待したいと思います。

 

  それでは、関連リンクです。

コレクションが寄託された山形美術館

山形美術館 -

と、天童市美術館

天童市美術館

それと、吉野石膏コレクション。作品検索もできます。

吉野石膏コレクション – 公益財団法人吉野石膏美術振興財団

 

なお、本展覧会は以下の通り巡回していました。最後が東京・三菱一号館美術館での展覧会でした。

・名古屋市美術館:2019/4/9(火)-5/26(日)

・兵庫県立美術館:2019/6/1(土)-7/21(日)

 

  今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また、次のレポートもよろしくお願いいたします。

 

※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。

 
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(帰りの東京駅。この頃は多くの人がいらっしゃいました)