自称アート・リポーターこと、よろコンです。
本ブログでは過去に見た展覧会も含め、好きな展覧会をレポートしていきます。
今回は、久々の訪問
オラファー・エリアソン ときに川は橋になる @ 清澄白河・東京都現代美術館
のレポートです。
東京都現代美術館。通称MOT。ここに来るのも17年ぶりくらいかも・・・
とても楽しい展覧会でした。
今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会の解説、目録、その他WEB上の資料を参照の上、記述しております。なお、今回の会場内は撮影可能でした。
1. 展覧会概要
(1) どんな展覧会か
オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)
1967年デンマーク・コペンハーゲン生まれ。アイスランド系の芸術家。
自然現象や建築物に興味を持つ巨大インスタレーション作品が有名。
(インスタレーション=展示空間も含めて作品とみなす現代美術の表現手法)
ロンドン・テートモダンに2003~2004年に開催された「ウェザー・プロジェクト(The Weather Project)」展では旧火力発電所のタービン・ホールに人口の太陽を作り出す「沈まぬ太陽」を発表し、大きな話題に。その後、2008年ニューヨークの巨大な人工滝のインスタレーションは有名で、2016年にフランス・ヴェルサイユ宮殿にも巨大滝を創出しています。
ちなみに、ニューヨークに出現した滝はこちらから。
ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ - Wikipedia
ヴェルサイユの滝はこちら。
ベルサイユ宮殿に「滝」!? 実はアート作品 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News
今回の展覧会は、アートを介したサスティナブル(持続可能)な世界の実現に向け、作家の気候変動、再生可能エネルギーへの関心を軸にした作品で構成されています。
自然現象を彷彿とさせるインスタレーション作品は、見て、感じて、そして自らも作品の一部となるような、興味深い展覧会です。
日本でも原美術館、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館で展覧会が開催されてきていますが、私は今回、初めて知りました。なので、"初体験"レポートです。
(2) 開催概要
・期間:2020/6/9(火) - 9/27(日)
・時間:10:00 - 18:00 ※ 入館は閉館30分前まで。時間指定制ではありませんが、混雑時は入場制限がかかるようです。
・会場:東京都現代美術館(清澄白河)
※ 清澄白河は半蔵門線・大江戸線が停車する地下鉄の駅です。深川江戸資料館の前の通りは下町情緒ある商店街で、そこを抜けて駅から10分程度歩いたところに美術館があります。駅の側には清澄公園、美術館の横は木場公園とゆっくり散策するにも良いところかと思います。ちなみにカフェでも有名な街です。
・チケット:一般 1400円、大学生・専門学校生・65歳以上 1000円、中高生 500円
小学生以下無料
・作品数:17点
・写真撮影:OKです。1分以内なら動画撮影もOKとのこと。念のため入館時、係の方にご確認ください。
・Webサイト:
(美術館サイト)
(美術館・外観)
(入口です)
(3) パンフレット
※ 今回はパンフレットをGetしていないので、こちらのポスターで。
(4) 行くきっかけ
NHK・Eテレの日曜美術館で紹介されていました。上白石萌歌さん、松尾貴史さんが案内役で出演されていましたが、一つ一つの作品の仕掛け、その背後に感じられるコンセプトが面白そうだと思い、見に行くことにしました。COVID-19で開催が延期となり、このまま中止になるのではと、ヤキモキしましたが、無事に会期変更で開催となり、満を持して(大げさ^^;)見に行くことにしました。
2. 展覧会の中へ
(1) 訪問日・混雑状況
訪問日:2020/7/11(土) 曇り(展覧会を見ている最中ににわか雨も)。16:00入場。
鑑賞時間:約40分(一緒に見られるコレクション展とあわせて75分くらいいました。作品数は多くないので、あまり時間をかけずに回れます)
混雑状況:結構、人はいました。混んでいるという程ではないですが、展示を見るのに並んでいる作品もあります。(1作品、作品の中身をのぞき込む仕組みになっていたので、ここは5分くらい並びました)
では美術館に入ります。
(2) 展覧会の構成
会場と作品は以下の通りです。展覧会の目録から。
それでは、作品を見て行きましょう。
(3) 気になる作品
入口を入ると右手に見える作品。(番号は前出の会場案内図・展示位置の番号です)
02「クリティカルゾーンの記憶(ドイツーポーランドーロシアー中国ー日本) no.1-12)」2020
(Memories from the critical zone(Germany-Poland-Russia-China-Japan, nos.1-12)
作品をベルリンから日本に運ぶため、より二酸化炭素を排出しないで運ぶにはどのようにしたら良いか?そんな試行の中、ドイツ・ベルリンからハンブルグまではトラック、そこからポーランド、ロシアを経て中国までは鉄道、その後、中国から日本へは船で運ばれます。この過程を記録したのが、この作品です。どのように記録したか?ここに描かれた線は、旅の過程で球体がそれぞれの円で囲われた画面の上を動いた跡。でも、偶然に出来上がった軌道はすべて地図にも見えますし、天球のようにも見えるのが不思議です。
さて、次の部屋は
03「太陽の中心への探査」2017
(The exploration of the centre of the sun)
光とガラスが織り成す万華鏡のような世界。光が部屋中に乱反射して溢れているようで、その輝きはどこか秩序的で、何かの法則に則って輝いている、そんな感じを抱きました。太陽というより、銀河、星の世界ような。(太陽も星ですが)
さて、さらに進みます。
06「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること」2020
(Your happening, has happend, will happen)
部屋に入るとカラフルな影が何重にも重なって動きます。自分の体の動きが作品となって完成する作品です。こちらは、下の写真の機械が発する光によって生み出されます。
さっそく、私も!(このブログでは初登場かも^^;)
(失礼しました)
さらに進んで、次にご紹介する作品は
11「おそれてる?」2004
(Who is afraid?)
ゆっくり回転する3つの円形のガラスに光を照らし、その反射が壁にうつされる作品。
光が重なり、いろいろな色が出現します。そして、いろいろなことが想起されていくようです。
これは明るい昼間の太陽、それとも燃える夕陽。
左の壁に映るのは、冷たい月、海と緑の地球。
今度は、月食か?
私は天体の動きになぞらえて、作品を見ていましたが、みなさん、どのように見えますか?
さらに進んで行くと会場途中に黒い幕が見えます。最初、人の出入りがなく、入っていいものやら分からずに危うくスルーするところでした。是非、黒幕の中に入っていってください。
幕の真ん中にはこんな装置が
そして、周りの壁に映るのは
反射する光。
実は、先ほどの装置には実は水が張っていて、水面に波が立つと
光が動きます。扇に見えたり、縞模様の熱帯魚に見えたり、霧のように広がり、蝶が舞ったり・・・そして、また円に。この円は生命の源、太陽か。それとも夜空をやさしく照らす月か。いろいろと想像が掻き立てられます。
この作品は
12「ときに川は橋となる」2020
(Sometimes the river is the bridge)
光のように絶えず変化し、流動する状況はオラファー・エリアソンにとって限界を超えるため欠かせない要素とのこと。世界との新しい向き合い方を提示するこの作品は本展覧会のための新作とのことです。(目録より)
さて、隣にあるもう一つの黒幕に入っていくと、そこには
虹が・・・
これは
13「ビューティー」1993
(Beauty)
ポスターの写真もこの作品ですが、とある空間に突然現れた虹。純粋に美しかったです。なんだか、虹のミニチュア(それとも子ども)を見ているようで、ちょっと不思議な感じでした。
さて、展覧会も終盤、写真の作品から。
15「溶ける氷河のシリーズ1999/2019」2019
(The glacier melt series 1999/2019)
1999年にアイスランドの自然を記録したエリアソン。2019年に再び訪れたときには、依然とは変わってしまった世界が。地球温暖化、気候変動が目の当たりに。左に1999年、右に2019年、同じ場所で撮影した写真を並べることで、今、この地球で起きていることを克明に記録します。
20年。地球は確実に変わっています。
最後は
16「9つのパブリック・プロジェクトの記録写真」
(Documentation photographs of nine public project)
オラファー・エリアソンが9つのパブリック・プロジェクトとして公共空間で撮影した写真の中から一枚。
「30秒の鏡」2010
鏡で分断された世界は現実世界と連続する世界。鏡は存在しながら、存在しない世界。その存在と存在を越えた世界の連続性。今の世界の見え方に一石を投じる世界。
そして、展覧会場を後にします。
(4) ミュージアムショップ
今回、買い物はしませんでしたが、展覧会に関する書籍やMOT関連グッズなどきれいなミュージアムショップがあります。他にも2Fのカフェではサンドイッチなどの軽食も。レストランもあります。次に来たときは食事もしていこうかな。
3. さいごに
「アート作品は価値観とアイデアに形を与え、アーティストの信念を反映します」(展示会場解説より)
現代アート。久しぶりに見ました。若かりし頃はよく見に行きましたが、最近、ちょっと、敬遠していたところもありました。久々に見たアートの世界は、今ある日常に新しい視点を加えるとても刺激的な空間でした。見ているときはとても楽しく、今ある世界の「在り方」を考えさせられる展覧会でした。都内では現代アートの展覧会もいろいろありますので、ちょっと行きたいなぁ、と思いました。東京都美術館のコレクション展では草間彌生の作品等も楽しめます。美術館そのものもとても魅力的なので、また、こちらまで足をのばしたいと思います。今度は、帰りに飲んで帰りたいかなぁ(^^;)
今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
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