ただの美術好き、よろコンです。
本ブログでは過去に見た展覧会も含め、気になる展覧会をレポートしていきます。
今回は、年休を取得した2021/7/13(月)に訪問しましたこちらの展覧会から
三井記念美術館コレクション名品展
自然が彩る かたちとこころ -絵画・茶道具・調度品・能装束など- 展 @ 三越前・三井記念美術館
です。
お江戸・日本橋の三井記念美術館はその名のとおり三越、三井銀行、三井物産の三井家コレクション4,000点を有する美術館です。そんな数あるコレクションの中から、絵画、茶道具、調度品に工芸、能装束と、ジャンルを超えて「自然」にまつわる作品が集められた展覧会。8/23からリニューアル工事による約8か月におよぶ長期閉館前。もちろん、あの「松」も見られますよ・・・
今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会内の説明、パンフ、その他WEB上の資料などの説明を参照の上、記述しております。なお、作品の写真はすべてパンフ、購入した絵はがきを撮影しています。
1. 展覧会概要
(1) どんな展覧会か
以下、美術館サイトからまとめます・・・
三井家の家祖・三井高利(みつい たかとし) 1622~94
伊勢松坂から息子たちに指示を出し、延宝元年(1673)に江戸本町に「越後屋」を開店したのが三井グループの始まりとか。
呉服の反物を切り売り、現金取引したのが人気を博し、商売繁盛。京都・大阪・江戸で呉服と両替店を営み、朝廷・幕府の御用店に。三井財閥へと発展していきます。
三井家のコレクションは高利の子供たちの時代に11家となり、それぞれが美術品を収集したのが礎に。集めも集めた名品4,000点を所蔵するのが三井記念美術館。国宝6点、重要文化財75点と日本でも有数のコレクションの中から、今回は自然をテーマに展示する展覧会です。
(2) 開催概要
・期間:2021/7/10(土) - 2021/8/22(日) ※ 開催中
・時間:11:00 - 16:00(入館は15:30まで) ※ 事前予約不要ですが、時間が短いのでご注意を
・休館日:月曜日
・会場:三井記念美術館(三越前・日本橋)
※ 銀座線、半蔵門線の三越前駅からは直結です。東京、神田、新日本橋、日本橋駅からも歩けるというまさに東京の中心、アクセスのよい美術館です。今回は神田駅から歩きました。
・チケット:一般1300円、大学・高校生800円、中学生以下 無料
※ 半券提示でリピート割(大人で-200円)があります。また、美術館サイトに100円割引クーポンがあります。(使うの忘れました^^;)
http://www.mitsui-museum.jp/guide/index.html
・作品数:目録を見ると70点の作品。内、国宝2点、重要文化財9点。それ以外にも見どころ満載の展示です。
・写真撮影:NGです。
・Webサイト
(3) パンフレット
(表面)
(裏面)
(4) 行くきっかけ
これも、アートスケープで展覧会のチェックをしているときに見つけました。最近、ここから見つけることが多いですねぇ。重宝してます。
三井記念美術館さんは毎年年初にあの「松」の展示があり、他にも超絶技巧の明治工芸や浮世絵、ヨーロッパ陶器などなど、いろいろと面白い展覧会を開催されているので、ちょいちょい見に来ています。日本橋も好きな街ですし、界隈を歩くだけでも十分楽しいです。
2. 展覧会の中へ
(1) 訪問日・混雑状況
訪問日:2021/7/13(火) 晴れ間もあるけど雲も多めという感じでした。15:15頃
鑑賞時間:約40分(時間がなかったので、見たい作品に絞って時間を集中し、急いで見てきました)
混雑状況:平日昼の閉館まで残り少ない時間だったので、比較的空いていました。予約制ではありません。会期末に近づくと混みそうですが。
では、いよいよ展覧会場に。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
展覧会の構成は次のとおりです。
・展示室1(茶道具) ※ 野々村仁清の作品等
・展示室2(茶道具) ※ 重要文化財 本阿弥光悦「黒楽茶碗 銘雨雲」
・展示室3(茶道具) ※ 国宝 志野茶碗「銘卯花墻」
・展示室4(絵画) ※ 国宝 円山応挙「雪松図屏風」等
・展示室5(工芸・絵画) ※ 安藤緑山の牙彫、自在置物、象彦の工芸等
・展示室6(工芸) ※ 印籠、根付等
・展示室7(絵画・能面・能装束) ※ 能面(重要文化財)、着物等
展示作品一覧はこちらからも
http://www.mitsui-museum.jp/pdf/mokuroku_210710.pdf
さらに、こちらの展示では自然の表現の仕方から次の9つのテーマに基づいて分類していました。
(1) 理想化された自然を表す
(2) 自然をデフォルメして表す
(3) 銘を通して自然を愛でる
(4) 素材を活かして自然を表す
(5) 実在する風景を表す
(6) 文学(物語や詩歌)のなかの自然を表す
(7) 自然を造形化する
(8) 掌のなかの自然
(9) 自然を象徴するかたち
今回は気になる展示の中から絵はがきを買った3作品をご紹介。
まず最初はやはりこれです。
(右隻)
(左隻)
円山応挙「雪松図屏風」 江戸時代 18C
展示室4(絵画)の奥に鎮座しています。
国宝「雪松図屏風」は三井コレクションを代表する一品。国宝の中でも長谷川等伯の松林図屏風や尾形光琳の紅白梅図屏風のように、目にすることが多い作品ではないでしょうか。
こちらはテーマ「(4) 素材を活かして自然を表す」
墨は松の葉の緑、茶色い幹に枝を、金は雪に輝く光、凛とした空気を描いています。そして、素材の「白」を活かした雪。描かないことで描き切る。写実派・応挙の真骨頂。応挙のいや日本画の最高傑作のひとつだと思います。
さて次は
酒井抱一「秋草に兎図屏風」 江戸時代 19C
展示室4(絵画)、「雪松図屏風」の左側に展示されています。
江戸琳派・酒井抱一の作品。
これもテーマ「(4) 素材を活かして自然を表す」の作品。
こちらは板を斜めに平行に張り合わせて木目を野分(=台風に伴う暴風。または、秋から初冬にかけての強風)に見立て、それに逆らうように駆けていく兎と吹き飛ばされそうな秋草を描きます。まず、趣向が粋で面白い。右下に向かって吹く風の木目と垂直に交わり左下に跳んでいく兎、右上に伸びるすすきなどの秋草。この構図がこの絵に躍動感を与えます。これも、まさに描かずして描いた作品。
森狙仙「岩上郡猿図屏風」 江戸時代 18C~19C初頭
狩野派、円山応挙らに影響を受け「森派」の祖となった絵師。残された作品はほとんどが猿とのこと。
こちらはテーマ「(7)自然物を造形化する」の作品。
毛づくろいする猿たちの表情・雰囲気がとてもやさしくて、切り立つ岩の頂という緊張感のある場所に癒しを感じる猿たち。温かみ感じる作品でした。
絵はがきはここまでですが、他にもパンフレット裏面の・・・
・本阿弥光悦 作「黒楽茶碗 銘雨雲」 江戸時代17C
は重要文化財。茶碗の黒いにじみが「雨雲」の雰囲気を滲み出しています。
「(3) 銘を通して自然を愛でる」というのも納得です。
・安藤緑山 作 「染象牙果菜置物」 明治~昭和初期
は象牙の彫り物「牙彫」
今では象牙は手に入りませんが、明治初期、外貨獲得にも一役買った超絶技巧の工芸。本当に本物にしか見えません。まさに「(7) 自然を造形化する」
が気になりました。
さらに写真はないですが、円山応挙の掛け軸「福禄寿・天保九如図」は淡い塗りに優しい福禄寿がかわいらしく、自在置物や各種工芸も目を見張る作品が並んでいます。
どんな作品かは、ぜひとも実際の作品を見て、確かめてみてください(^^)
ということで、様々な自然を楽しみつつ会場を後にします。
(3) ミュージアムショップ
ミュージアムショップがあります。今回はこれまで紹介した絵はがき(4枚、1枚110円)を購入です。喫茶室もあります。
3. さいごに
日本橋って三井銀行、三越、三井不動産のビル群と三井のお膝元ですね。
「越後屋」で「高利」を「こうり」と読んだりすると、勝手に時代劇の「おぬしも悪よのぉ・・・」なんてシーンを思い出しちゃいますが(悪い想像ですみません^^;)、実際は、日本橋から日本の発展へとつながり、現在の美術館にもつながっているのですねぇ。江戸から明治、そして現在と肌で歴史を感じられる場所です。日本橋は。
それでは、最後に関連リンクです。
この日の散歩コースは
だいぶ前になりますが
7月の展覧会情報です。
今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
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(三井のビルと日銀の間の木。この木なんの木?)