すきコレ

好きなものをコレクションする。そんなコンセプトのブログです。旅にアートに、それからそれから...

【展覧会】「自然と人のダイアローグ」@上野・国立西洋美術館のレポート(2022/7/31 鑑賞)

展覧会に行きたい!よろコンです。

 

本ブログでは既に終了した展覧会も含め、好きな展覧会をレポートしていきます。

 

今回は、2022年7月31日(日)に訪問した

「国立西洋美術館リニューアルオープン記念

自然と人のダイアローグ展

フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」@国立西洋美術館
f:id:YoroCon:20220813234714j:image
です。

長い改修工事を終えた西洋美術館

庭も変わりました。広々とした空間にロダンの名作

これだけでも十分に楽しめますが、リニューアル展は西洋美の誇る松方コレクションとドイツ・フォルクヴァング美術館とのコラボ展。数多くの多彩で多様な名画が待っています。

 

ひさびさの個別の展覧会紹介ですが、今回も最後までお読みいただけますと幸いです。

 

【目次】

 

※ 以下の記述は展覧会の解説、図録、パンフ、その他WEB上の資料等を参照の上、記述しております。また、絵画の写真は撮影可能であった作品を撮影しています。

 

1. 展覧会概要

(1) どんな展覧会か

今回、西洋美リニューアル展でコラボするのはドイツ・エッセンの

フォルクヴァング美術館

 

西洋美のコレクションの礎となった松方幸次郎(1866-1950)と同時代を生きたカール・エルンスト・オストハウス(1874-1921)の個人コレクションから生まれた美術館です。

f:id:YoroCon:20220813234454j:image

この展覧会では二つの美術館のコレクションから印象派、ポスト印象派、ドイツ・ロマン主義から20世紀絵画まで100点以上の作品が集結しました。

テーマは「自然」

産業・社会・科学等の多くの分野が急速に発展した19世紀から20世紀。そのような変化の時代に芸術家が自然との対話を通じて生み出していった多彩な作品、その作品を介して生まれる私たちと自然との対話。近代から現代へと人々と自然との対話を見つめる展覧会です。

どちらの美術館のコレクションも充実した作品群。見ごたえ十分です。

f:id:YoroCon:20220813234508j:image

f:id:YoroCon:20220813234501j:image

 

(2) 開催概要

・期間:2022/6/4(土) - 2022/9/11(日)

・時間:9:30~17:30(入館は閉館30分前まで。金・土曜日は20:00まで) 入場日時予約制

・休館日:月曜日

・会場:国立西洋美術館(上野駅公園口)

・チケット:一般 2000円、大学生 1200円、高校生 800円

・作品数:100点以上

・写真撮影:OKの作品多数(一部NGあり。表示をご確認ください)

・Webサイト:

(展覧会サイト)

nature2022.jp

 

(美術館サイト)

www.nmwa.go.jp

(3) パンフレット

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/pdf/2022nature.pdf

↓ 国立西洋美術館さんのリンク先のPDFをキャプチャしました。

 

2. 展覧会の中へ

(1) 訪問日・混雑状況

訪問日:2022/7/31(日) 13:30頃訪問

鑑賞時間:約90分

混雑状況:混んでいました。でも予約制なので中は十分ゆっくり見られます。展覧会も終了に向けて、これからますます混むと思います。

 

(2) 展覧会の構成

I. 空を流れる時間  Skies Across Time

「空の王者」ウジェーヌ・ブーダンから展覧会はスタートです。雲をはじめとした気象のテーマから始まりマネ、モネ、ピサロといった印象派、コローや、この章の最後ではモネと現代美術家リヒターの空にまつわる作品を並べる興味深い展示もあります。

 

II. <彼方>への旅  Journey of the Other

科学的な観察の対象としてだけではなく、精神的な拠り所、審美的な経験の場でもあった自然。そんな自然と個人の観念や感情が結びつき生み出される作品の章です。絵の階級では下位に位置付けられていた風景画が徐々に表舞台へと出てきた時代。ドイツ・ロマン主義のフリードリッヒや写実主義を唱えたクールベ、象徴主義のモロー・ルドン、そしてポスト印象派のゴーガンなどの作品が並びます。

 

III. 光の建築 The Architecture of Light

自然の直接的な経験から、本質的な構造や法則を抽出して絵画空間を構成しようとした画家たち。独自の構造・構成で近代絵画の父と呼ばれたセザンヌや点描画法のシニャック、抽象絵画のカンディンスキーほか、自然の本質を把握しようと試みる中で生まれた作品の章です。

 

IV. 天と地のあいだ、循環する時間  Cycles of Time Between Heaven and Earth

日の出・日没、春夏秋冬、生と死。この循環する時間をめぐる作品をテーマとした本展、最後の章。この章は美術館の地下階の展示スペースに展開されています。四季をめぐるミレーやドニの作品。季節の労働をめぐるムンクやセガンティーニ、そしてあのゴッホの作品が登場します。

 

  少し書いただけでもかなりの画家が登場しましたが、このほかにも多数の画家や写真家などの作品が展示されています。

 

(3) 気になる作品

それでは「I. 空を流れる時間」から

f:id:YoroCon:20220813234440j:image
ウジェーヌ・ブーダン「トルーヴィルの浜」1867年 国立西洋美術館

 

空と言えば、ブーダン。ブーダンと言えば、このような浜辺の作品が印象的。リゾートでパリ市民が押し寄せたノルマンディーの海辺

 

f:id:YoroCon:20220813234504j:image
クロード・モネ「ルーアン大聖堂のファサード(朝霧)」1894年 フォルクヴァング美術館

 

モネの作品も多数展示されています。中でもこのルーアン大聖堂の作品が印象的でした。朝の霧の朦朧とした光の中から現れる大聖堂が幻想的です。

 

「II. <彼方>への旅」からは

f:id:YoroCon:20220813234434j:image

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ「夕日の前に立つ女性」1818年頃 フォルクヴァング美術館

 

ドイツ・ロマン主義の画家。夕日か朝日かの解釈は分かれているとのこと。背中を向けた女性が私たちを画面の中の自然の世界へと誘い込みます。

 

f:id:YoroCon:20220813234511j:image

ギュスターヴ・クールベ「波」1870年 フォルクヴァング美術館

 

クールベの波は国立西洋美術館の作品も並べて展示されています。真正面からとらえられた波が力強く画面の外へと迫ります。

 

f:id:YoroCon:20220813234437j:image

ギュスターヴ・モロー「聖なる象(ペリ)」1882年 国立西洋美術館

 

象に乗った女性とそれを取り囲む天使。モローの思い描く「幻想の東洋」が描かれているとのこと。

 

f:id:YoroCon:20220813234458j:image

ポール・ゴーガン「扇を持つ娘」1902年 フォルクヴァング美術館

 

未知なる原初の力、自然を求めて南の島に移り住んだゴーガン。1901年マルケサス諸島に移住したころの作品とのこと。扇の要のトリコロールはフランスの植民地であったことを意味しているよう。

正直に言うと、以前はそこまで好きではなかったゴーガン。なのですが、最近、なんだかすごく好きになっています。この心境の変化、一体何なのだろう(年齢?^^;)

 

続けて「III. 光の建築」からは点描の二作品

f:id:YoroCon:20220813234451j:image

テオ・ファン・レイセルベルへ「ブローニュ=シェル=メールの月光」1900年 フォルクヴァング美術館

 

ベルギーの新印象派。1910年代はアール・ヌーヴォーの美学に傾倒していったとのこと。水面に映る月の明かり。遠くに見えるのは街の灯でしょうか?とっても雰囲気のある素敵な作品でした。

 

f:id:YoroCon:20220813234447j:image

ポール・シニャック「ポン・デ・ザール橋」1912/1913 フォルクヴァング美術館

 

シニャックの作品はやはり国立西洋美術館の作品と2作品展示。橋の向こうの塔。橋をくぐる舟。雲と空と青緑の川の水。爽やかさの残る作品でした。

 

最後の「IV. 天と地のあいだ、循環する時間」からは、やはりこの一枚

f:id:YoroCon:20220813234443j:image

フィンセント・ファン・ゴッホ「刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)」1889年 フォルクヴァング美術館

 

展覧会で紹介されていたゴッホの言葉

「僕は、この鎌で麦を刈る人の中に
- 炎天下、自分の仕事をやり遂げようと悪魔のように戦う朦朧とした姿のなかに-
死のイメージを見ました。人間は刈り取られる麦のようだという意味です。(・・・)
しかしこの死の中には何ら悲哀はなく、
それは純金の光を溢れさせる太陽とともに明るい光のなかでおこなわれているのです。」

 

降り注ぐ太陽の光、黄金の麦畑。刈られようとしている麦も、それを刈り取ろうとしている農夫もゴッホなのかもしれません。農夫の鎌は確かに絵筆にも見えるような・・・

 

ということで、この他にも、もっともっと紹介したい素晴らしい作品にあふれた展覧会ですが、今回はこの辺で・・・

 

(4) ミュージアムショップ

図録と絵はがきを購入です。図録は2700円(税込み)

f:id:YoroCon:20220822020303j:image

この図録、写真も良くて、おすすめです。

絵はがきはモネのルーアン大聖堂とゴーガンの扇を持つ娘を購入。こちらは少し絵が小さめかも・・・

 

このほかにもいろいろなグッズがありますのでご確認ください。

図録・音声ガイド・グッズ|国立西洋美術館リニューアルオープン記念「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」

 

3. さいごに

国立西洋美術館、リニューアル前と前庭はだいぶ変わりました。これは世界遺産に登録されたとき、前庭の植え込みがル・コルビュジエの設計意図を曲げているという指摘があったということで、この植え込みがなくなりました。そうすると、確かに前庭はロダンの彫刻を展示するためのスペースとして蘇ったような気がします。

今回の展覧会も力の入った、とても素晴らしい展覧会だったと思いますが、この庭を見に来るだけでも、松方コレクションの常設展を見るだけでも十分に価値のある、見どころ満載の美術館。リニューアル、待ってました!

 

  ということで、本当に素晴らしい展覧会でしたので、ぜひとも、ご覧いただければと思います。 

 

それでは、さいごに関連リンクです。

8月の展覧会情報はこちら。

www.suki-kore.tokyo

そして、ここに載せるべき展覧会がもう一つありましたので補足です。

tsumugu.yomiuri.co.jp展示替えがあり、前期はおおむね8/28まで。

狩野永徳「唐獅子図屏風」は前期、伊藤若冲の「動植綵絵」から10幅は8/30の後期展示から。上野に来たら、この展覧会も行かなければ。(東京都美術館のボストン美術館展も開催中で、今の上野は熱いです)

 

  ということで、今回のレポートは以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また、次のレポートもよろしくお願いいたします。

 

※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。

 

f:id:YoroCon:20220813234717j:image

(展覧会の後、「すいれん」のケーキセット。常設展を見る前に一休み^^)