よろコンです。
本ブログでは見て来た展覧会の個人的な感想を書いています。
今回は、2024年5月12日(日)に見て来た展覧会
北欧の神秘@新宿・SOMPO美術館
です。
「ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」
北欧と言えば、北欧家具で有名なスウェーデンのイケア、「ムーミン」のトーベ・ヤンソンはスウェーデン系フィンランド人。画家だと「叫び」でおなじみのムンク(ノルウェー)でしょうか?
今回、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド3か国の国立美術館から北欧の画家たちの作品が新宿に集結します。家具やデザインだけではない、大自然に包まれた北欧の「神秘」が詰まった展覧会。今回も最後までお読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会の解説、パンフ、図録、その他WEB上の資料等を参照の上、記述しております。また、撮影可能だった作品の写真を掲載しています。
1. 展覧会情報
(1) 開催概要
・会場:SOMPO美術館@新宿
・期間:開催中(2024/3/23(水)) - 2024/6/9(日)
※ 展示替えなし
・時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
※ ナイトミュージアム:なし(ただし金曜日17:30以降に入館された方には
展覧会オリジナルステッカーのプレゼントがあるようです)
・休館日:月曜日
・チケット:(当日・美術館で購入) 一般 1600円、大学生1100円、高校生以下 無料
(なお、当日含めWebで事前購入の場合、-100円)
・作品数:70点(作品リストより)
・写真撮影:3F~5Fの展示会で4F及び5F出口のゴッホ「ひまわり」(美術館蔵)はOK、3F及び5FはNG ※ 5F→4F→3Fの順に鑑賞
・関連リンク:
1) 展覧会
【北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画】 | SOMPO美術館
(展覧会チラシ)
https://www.sompo-museum.org/wp-content/uploads/2024/01/magic-north_pressrelease.pdf
(作品リスト)
https://www.sompo-museum.org/wp-content/uploads/2024/03/magic-north_list.pdf
2) 美術館
SOMPO美術館(新宿駅 徒歩5分)|この街には《ひまわり》がある。
この日は曇り空
それでは、展覧会場へ。
(2) 訪問日・混雑状況
訪問日:2024/5/12(日) 14:45頃
鑑賞時間:約90分くらい
混雑状況:観覧者の方は多かったですが、ゆっくり見られました。
(3) どんな展覧会?
19世紀、ナショナリズムの興隆を背景に北欧絵画は母国の自然や歴史、神話などへの関心を原動力に様々な作品が産み出されました。
そんな北欧絵画に焦点を当てた展覧会は本邦初とのこと。
3か国の国立美術館
・ノルウェー国立美術館
・スウェーデン国立美術館
・フィンランド国立アテネウム技術館
より、普段はあまりなじみのない北欧の国民的な画家たちの作品をはじめとした70点からなる展覧会です。
(入口のバナー。ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン(フィンランド)「イルマタル」1860年)
それでは参りましょう。
2. 会場へ
(1) 構成
序章 神秘の源泉-北欧美術の形成
1章 自然の力
2章 魔力の宿る森 - 北欧美術における英雄と妖精
3章 都市 - 現実世界を描く
(2) 気になる作品
今回は5F → 4F → 3Fの会場で、4Fの作品が撮影OKでした。写真は撮影OKの作品から
3F北欧の大自然を描いた作品を見てから4Fへ
3Fに続き北欧の「自然の力」がテーマの作品
アイリフ・ペッテシェン(ノルウェー)「夜景図」1887年
木々に囲まれた湖にたたずむ裸婦。湖、はたまた森の妖精か。
ペッカ・ハロネン(フィンランド)「河岸」1897年
フィンランドは「千の湖の国」と呼ばれ、水は国の歴史や民間伝承に重要な役割を担ってきたとのこと。水の表面の輝きに独特な深みを感じます。
エドヴァルド・ムンク(ノルウェー)「フィヨルドの冬」1915年
屋外で主題を前に制作するムンクの代表的な作例とのこと。フィヨルドのうねりが自然の大きな力を感じさせます。
ヴァイノ・ブロムステット(フィンランド)「初雪」1896年
ヴァイノ・ブロムステット(フィンランド)「冬の日」1896年
北欧絵画は水の輝きが一種独特な気がします。"キラキラ"というより鈍色を含みながら静かに輝くというところでしょうか
続いては「魔力の宿る森 - 北欧美術における英雄と妖精」から
アウグスト・マルムストゥルム(スウェーデン)「フリチョフの誘惑(『フリチョフ物語』より) 1880年代
物語のワンシーン。モノトーンな世界に映し出される場面がゲームの一場面のような雰囲気を醸します。
ガーラル・ムンテ(ノルウェー)
左上「山の門の前に立つオースムン」
右上「一の間」
左下「五の間」
右下「帰還するオースムンと姫」
1902-1904年
ノルウェーの民藝品からインスピレーションを得た作品はタピスリーにも応用されたとか。左から右に話が進むところが、やはりゲームの進行のよう
(ミッション・コンプリート!)
テオドール・キッテルセン(ノルウェー)「アスケラッドと黄金の鳥」1900年
テオドール・キッテルセン(ノルウェー)「トロルのシラミ取りをする姫」1900年
キッテルセンはノルウェーの民間伝承をモチーフにした作品で国民的な画家に。
映像のコーナーではキッテルセンが描いた水の精など、キッテルセンの作品を紹介する映像が流れていましたが、この自然に「精霊」の存在を感じるのは日本の「もののけ」や「妖怪」にもつながるなぁと感じました。水木しげるワールドのような
深い森、水、雪・・・北欧と日本、豊かでもあり、厳しくもある自然というところは通じ合っているのかもしれません。(日本には穏やかな南の国の自然もありますが)
3Fへ
ブリーノ・リリエフォッシュ(スウェーデン)「そり遊び」(1882)
ここでは産業革命以降、北欧でも変わりゆく街の姿とそこで生きる人たちを描いた作品が展示されてます。王子でありながら画家でもあるエウシェン王子(スウェーデン)が描いた古い工場の夜景や作家のストンドバリ(スウェーデン)が描いた黒い大きな雲に覆われた街の姿などの作品が並びます。
さて、北欧三国の作品はいかがだったでしょうか?
そこには豊かで厳しい大自然があり、そこに精霊の姿を見出した数々の伝承があり、みずからの根源を辿るナショナリズムの高まりと相まって、神秘的な多くの作品が生まれました。どこか日本にも通じる、遠くて近い、不思議な親近感のある展覧会でした。
ということで、展覧会場を後にしました。
ミュージアムショップでは今回は図録を買いました。
3. さいごに
個人的には北欧の音楽も好きで、なんといっても教科書にも載っているグリーグ(ノルウェー)の「ペール・ギュント」。それからフィンランドの国民的作曲家・シベリウス(スウェーデン系フィンランド人)の作品などを聴いています。音楽も民族音楽から着想を得たり、自然を描いたりと、絵画との共通点があります。ちょうど、今回の画家たちが活躍した時期とも重なっていますので、絵画、音楽を併せ、北欧の神秘、これからも注目して見て行きたいと思います。
本展の巡回情報は次の通りです。
【巡回情報】
・松本市美術館(長野県松本市):2024/7/13~9/23
・佐川美術館(滋賀県守山市):2024/10/5~12/8
・静岡市美術館(静岡県静岡市):2025/2/1~3/26
関連リンクです。
それぞれ、美術サイトでの紹介。多くの作品の写真もあります
【プレビュー】「北欧の神秘 ―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」SOMPO美術館で3月23日から – 美術展ナビ
「北欧の神秘─ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」(SOMPO美術館)開幕レポート。自然とファンタジーの世界へ|美術手帖
フィンランドの女性アーティストの展覧会から
2024年の展覧会情報はこちら
ということで、今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次もよろしくお願いいたします。
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(これからぐずつく天気が増えそうですね・・・)