すきコレ

好きなものをコレクションする。そんなコンセプトのブログです。旅にアートに、それからそれから...

【展覧会】モンドリアン展@新宿・SOMPO美術館のレポート(2021/6/6訪問)

ただの美術好き、よろコンです。

 

久々ですが、本ブログでは過去に見た展覧会も含め、気になる展覧会をレポートしていきます。

 

今回は、最終日(2021/6/6)に訪問しましたこちらの展覧会から

 

生誕150年記念 モンドリアン展 @ 新宿・SOMPO美術館

 

です。

 

パンフの言葉「純粋な絵画をもとめて」そして「自由か。束縛か」

モンドリアンと言えば格子に原色のマスで構成された「コンポジション」シリーズ。でも、そこに至るまでには様々なものに影響を受け、繰り返される変転。そして、モンドリアンにとって純粋な絵画とは。

故郷オランダはデン・ハーグ美術館からの50点を含むモンドリアン作品の軌跡をたどる展覧会です。

 

今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。

 

【目次】

 

※ 以下の記述は展覧会内の説明、パンフ、図録、その他WEB上の資料などの説明を参照の上、記述しております。なお、作品の写真は購入した図録を撮影しています。

 

1. 展覧会概要

(1) どんな展覧会か

ピート・モンドリアン。1872年3月7日、オランダ中部のアメルスフォルトに生まれます。お父さんはプロテスタント系小学校の校長でした。叔父さんから油彩を習い画家を志し始めます。

初期のころは印象派やオランダ・ハーグ派からも影響を受けたような風景画を描きます。その後は神智学、ゲーテの色彩理論、点描、キュビズムと影響を受けながら、あの水平垂直線と原色平面のコンポジションに行きつきます。そして、画家の提唱した「新造形主義」の理念のもと、集まってきた芸術家集団「デ・ステイル」

活躍の場も故郷オランダ・アムステルダムからパリ、ニューヨークへと変転していきます。

そんなモンドリアンの変転の過程と行きついた到着地をたどる展覧会でした。

 

(2) 開催概要

 ・期間:2021/3/23(火) - 2021/6/6(日) ※ 途中、長期臨時休館あり

 ・時間:10:00 - 18:00

 ・会場:SOMPO美術館(新宿)

    ※ 西口の高層ビル群の中です。エルタワービルを目指すと近くの横断歩道まで地下を通って歩いて行けます。JR西口改札から10分しないくらいでしょうか。


 ・チケット:一般1500円、大学生1100円(オンラインチケット。当日窓口は+200円)

 ・作品数:65点+参考資料

 ・写真撮影:NGでした。(一か所撮影コーナーあり)

 ・Webサイト:

www.sompo-museum.org

(美術館サイト)

SOMPO美術館(旧館名:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)ゴッホ《ひまわり》を収蔵。新宿駅 徒歩5分

(外から見た美術館)

f:id:YoroCon:20210608013220j:image

(入口のポスター)

f:id:YoroCon:20210608013420j:image

f:id:YoroCon:20210608013252j:image

(モンドリアンってこんな人) 

 

(3) パンフレット

(表面)

f:id:YoroCon:20210608013241j:image

(裏面)
f:id:YoroCon:20210608013259j:image

 

(4) 行くきっかけ

もともと年初の日経おとなのOFFの展覧会特集を見たときから行こうと思っていました。GWの楽しみで。その後、度重なる臨時休館延長でどうなるかと思っていましたが、何とか展覧会が再開され最後の最後に見に行くことができました。

 

2. 展覧会の中へ

(1) 訪問日・混雑状況

訪問日:2021/6/6(日) 曇りときどき雨。11:20頃

鑑賞時間:約60分

混雑状況:日時予約制のため混んではいませんでした。ただ、前日にはチケットは売り切れていました。人も程良い感じで、ゆっくり見られました。(全然、密ではないのでご安心を)

 

では、いよいよ展覧会場に。

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

展示作品は

https://www.sompo-museum.org/wp-content/uploads/2021/03/pdf_ex_mondrian_list.pdf

からも確認できます。

美術館内の展示は次のような感じです。

f:id:YoroCon:20210608013248j:image

なお、展示の壁には絵が描かれたころにモンドリアンが活躍していた地名を書いていたのですが・・・メモするの忘れていました(^^;)、残念。

 

  ということで、見てきた順に気になる作品をご紹介。今回は美術館の配置図もあるので、No.(=配置場所)も記載します。

 

No.2

f:id:YoroCon:20210608013315j:image

ピート・モンドリアン「干し物のある農家」1897年頃 油彩、厚紙 31.5×37.5cm

 

印象派、オランダ・ハーグ派の影響を受けていた初期のころの作品。

〇オランダ・ハーグ派:バルビゾン派に影響を受けた写実主義のオランダ・ハーグで活躍した画家たち。ゴッホも影響を受ける。

干し物がリズミカルな感じ描かれているのがこの頃の作品の特徴とか。

 

No. 7
f:id:YoroCon:20210608013306j:image

ピート・モンドリアン「幼子」1900-01年 油彩、カンヴァス 53×44cm

 

とても可愛らしい少女。純真無垢なその瞳。

この頃のモンドリアンは神智学に関心を寄せていたようです。

〇神智学=すべての精神の動きは一つの普遍的な協議に統合するものとして霊的な高揚を求めた、神秘的な世界の見方(図録説明文より)

画面下部に描かれたアネモネは少女の無垢な若い生命力の象徴かもしれないとか。

 

No. 28
f:id:YoroCon:20210608013417j:image

ピート・モンドリアン「枯れゆくひまわりII」1908年 油彩、厚紙 65×34cm

 

こちらも神智学の影響を受けた作品。変身と進化の主題に取り組んでいたとか。

枯れゆく姿にとても存在感があり、何か人間がどこかに向かって歩いているかのような強烈なインパクトを受けました。

 

No. 30
f:id:YoroCon:20210608013236j:image

ピート・モンドリアン「少女の肖像」1908年 油彩、カンヴァス、パネル

 

先ほどの少女の絵と比べて、普段、人の肌の色として使われない水色などが顔を描くのに使われています。これは詩人でもあるあのゲーテの色彩理論の影響を受けています。

〇ゲーテの色彩理論=光や色に接すると、目は無意識に反対の、すなわち補色的な作用を引き起こす。

補色の効果で少女の顔が明るく見えますか?

 

No. 33
f:id:YoroCon:20210608013216j:image

ピート・モンドリアン「砂丘 I」1909年 油彩、厚紙 30×40cm

 

こちらも色彩理論を試みた作品。こちらは筆致が大きくフォーヴのような感じもしますが、並んでいた同じく「砂丘」を描いた作品は点描のようです。(パンフの裏面左上の方の作品)

いろいろな理論を取り入れ、試行錯誤を繰り返す中、作品のスタイルがどんどんと変わっていきます。

 

No. 42
f:id:YoroCon:20210608013255j:image

ピート・モンドリアン「コンポジション 木々 2」1912-13年 油彩、カンヴァス 98×65cm

 

1912年1月にパリに来て、すっかりキュビズムに傾倒していた頃の作品。

木はこの頃お気に入りのモチーフだったようです。

 

No. 49
f:id:YoroCon:20210608013226j:image

ピート・モンドリアン「自画像」1918年 油彩、カンヴァス 88×71cm

 

収入を必要としているモンドリアンが依頼主の好みをくみ取り描いた作品。しかし、本当の関心は抽象表現「新造形主義」

〇新造形主義=モンドリアン提唱の抽象表現の理論。水平・垂直の線、三原色と無彩色の平面の構成で生命力の根源を暗示する秩序と均衡のある構成を生もうとした。究極のキュビ

 

そうです。モンドリアンの奥に「新造形主義」が密かに忍ばされているのです。

 

No. 58

f:id:YoroCon:20210608013309j:image

テオ・ファン・ドゥースブルフ「コンポジション XXII」1922年 油彩、カンヴァス 45.5×43.3cm

 

新構造主義の提唱のもと、モンドリアンと「デ・ステイル」を立ち上げたドゥースブルフの作品

〇デ・ステイル=モンドリアンとドゥースブルフを中心とした造形運動。1917年、雑誌「デ・ステイル」を刊行。直線や原色の幾何学図形などを使い、単純性を追求することで客観的で普遍的な表現を目指す。絵画、彫刻のほかデザイン、建築などのメンバーも参画

後にはバウハウスにも影響を与える運動なのですが、離合集散も激しくモンドリアンも1925年にドゥースブルフと仲違いして脱退したとか(^^;)

 

No.54
f:id:YoroCon:20210608013230j:image

ピート・モンドリアン「線と色のコンポジション III」1937年 油彩、カンヴァス 80×77cm

ちょっと写真はゆがみましたが、直線と三原色・無彩色の平面から構成される「これぞモンドリアン」という作品。ただ、ここに至るまで数々の変転を経て、そして「新造形主義」が求める姿にたどり着いたのだということが、今回の展覧会を通じて少し理解できたような気がします。

 

f:id:YoroCon:20210608013410j:image

出口の撮影コーナー。

椅子はデ・スタイルに参加したヘリット・トーマス・リートフェルトの作品

特徴的な形の左の椅子は「ジグザグ・チェア」(1932-33年頃)

座ってみたいです。あまり、座り心地はよくなさそうですが。

ちなみに写真はヘリット・トーマス・リートフェルトの「シュレーダー邸」の内観

 

   最後はSOMPO美術館が誇るゴッホのひまわりをみて展覧会場を出ます。

 

(3) ミュージアムショップ

  今回の企画展のみならずコレクションに関連するグッズなどを販売しているミュージアムショップがあります。今回はクリアファイルと図録を購入です。

 

f:id:YoroCon:20210608013233j:image

クリアファイル 440円

モンドリアンの作品はクリアファイルのデザインとか、よく合います。

f:id:YoroCon:20210608013245j:image

図録 3,000円

 

このほかNo.54をデザインしたマスク(1,200円)があって、とっても欲しかったのですが、奥様にみつかったら怒られそうだったので、断念しました。でも、やっぱり買っておけばよかったぁ(後悔^^;)

 

3. さいごに

バウハウスのほかダダ、ポップアート、現在のデザインまで、幅広い分野で影響を与え続けるモンドリアン。あらためて、すごい芸術家です。そして、私の思い描いていたモンドリアンはほんの一部に過ぎず、そこまでに至るまで膨大な試行錯誤があったのだなぁ、ということがよく分かりました。あの格子の絵、これから見る目が変わります。奥深い。

 

また、ゆっくりと展覧会に見に来たいものです。

 

それでは、関連リンクですが・・・今回は「なし」で(^^;)

 

   今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また、次のレポートもよろしくお願いいたします。

 

※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。

 

f:id:YoroCon:20210608013312j:image

アンドレ・ケルステ「モンドリアンのアトリエ、パリ」 1926年

画家の気配を感じながら・・・