よろコンです。
今回も、あとから「あの時、こんな展覧会に行っていたんだなぁ」と自分が思い出すためのメモということで、よろしくお願いします。(このブログでは撮影OKだった作品の写真を掲載しています)

(こちらはアートギャラリー。採れたてアート、あります)
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☆藝大コレクション展2025
名品リミックス
@東京藝術大学大学美術館(上野・根津) ~11/3(月・祝)まで
藝大コレクション展2025 名品リミックス! | 東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts
東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts
○開館時間=10:00~17:00 ※ 入館は閉館30分前まで
○休館日=月曜日(これからだと祝日で最終日の11/3は開館なので休みなしです)
○入館料=一般当日500円、大学生250円、高校生以下及び18歳未満は無料
○展示数=55点(目録調べ)
○展示替え=なし
○鑑賞日時と時間=2025/10/26(日) 15:45~、60分。会場は一部屋ですが、解説も充実していて内容も濃いので、じっくり見たい展覧会です。
○混雑=多くの方がいますが、混雑はしていません。ゆっくり見られました。
○写真撮影:すべてOKです。(動画はNG)

(この日は小雨)
○展示構成
- 名品と対話する秋
- 令和の新収蔵品
- 平櫛田中コレクション
- 特集1 小場常吉「日本文様史」図版資料
- 特集2 うつしてまなぶ
・住吉派と源氏物語絵
・狩野派における図様の継承
・東京美術学校西洋画科の模写・素描収集
・描き継がれる美と祈り
○レポート
・東京藝術大学のコレクションは前身である東京美術学校の開校前から135年以上にわたり収集され、その数、約3万件を超えるとのこと。
・コレクションには教官、卒業生の作品とともに教材として数々の優品が収められ、それらを真似ることが学びへとつながっています。
・本展では国宝、重文の他にも新たなコレクション、教材として集められたもの、また、鍛錬のための模写や素描など、藝大の「学び」が「リミックス」した名品が展示されています。

まず、会場に入ると目に入る大きな作品は「描き継がれる美と祈り」から

福田美蘭「秋-悲母観音」平成24(2012)年
狩野芳崖の「悲母観音」(重要文化財)から着想を得た本作は東日本大震災の被災地への救済の願いと祈りが込められた作品。津波による瓦礫が広がる中、大事な赤ちゃんをしっかりと抱きしめています。


こちらが、その基となった作品

狩野芳崖「悲母観音」明治21(1888)年 東京藝術大学大学美術館蔵
次は「名品との対話」から

「絵因果経」(えいんがきょう) 天平時代 8世紀後半
釈迦の前世から現世までの障害を解く「過去現在因果経」(かこげんざいいんがきょう)が主題の作品。国宝
尾形光琳「槇楓図屏風」(まきかえでずびょうぶ) 江戸時代 18世紀
俵屋宗達の「槙楓図」(山種美術館蔵)を典拠とした作品とのこと。重要文化財

こちらも重要文化財

高橋由一「花魁」明治5(1872)年
廃れゆく吉原の花魁の姿をリアルに記憶にとどめた作品に、モデルの四代目小稲は私はこんな顔じゃないと泣いたとか。重要文化財
「令和の新収蔵品」からは

手塚雄二「夢模様」昭和55(1980)年
大きな画面に幻想的な世界観が展開する作品。

上原利丸「振袖 松竹梅・廻」(ふりそで しょうちくばい・ね) 令和3(2021)年
白と黒の地に鮮やかな松竹梅などの吉祥文様。とにかく鮮やか
「平櫛田中コレクション」から

平櫛田中(ひらぐし でんちゅう)「鏡獅子」昭和15(1940)年
右奥に見えるのは六代目尾上菊五郎をモデルとした試作。菊五郎の裸の肉体を写し取ることで衣装を着た菊五郎の動きも生き生きとした命が吹き込まれています。完成品は2mを越える像で国立劇場で展示されていました。ただし、劇場は現在改装中で作品は田中の故郷、岡山県井原市立平櫛田中美術館で公開中
「特集2 うつしてまなぶ」の狩野派から

狩野常信(かのうつねのぶ)「鳳凰図屏風」江戸時代 17-18世紀
木挽町狩野家二代目・常信が伯父の狩野探幽の様式を継承しつつ描いた作品
(右隻)

(左隻)

なお、こちらのリンクからは狩野探幽の鳳凰図を
【展覧会Log】8/1(金):まだまだざわつく日本美術@サントリー美術館のレポート(2025/8/8記述) - すきコレ
最後に「東京美術学校西洋画科の模写・素描」からは

フラ・アンジェリコ(原作) 和田 英作(模本)「受胎告知」大正11(1922)年

本多 錦吉郎(ほんだきんきちろう)(模本) 「占い」明治11(1878)年
令和6(2024)年「羽衣天女」(兵庫県立美術館蔵)が重要文化財に指定された、近年注目の画家の模本
一つ一つ名品は過去の作品に学び、リミックスされ、新しい作品に生まれ変わってきました。その繋がりはこれからも続く。とても興味深い展覧会でした。
ということで、閉館間際の美術館を後にします。
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今回の展覧会Logは以上です。
ここまで、お読みいただき、ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。


(Saphir ODORIKO @ 上野駅)