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【展覧会】「ホキ美術館所蔵 超写実絵画の襲来」@渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアムのレポート(2020/6/13 鑑賞)

自称アート・リポーターこと、よろコンです。

 

本ブログでは既に完了した展覧会も含め、好きな展覧会をレポートしていきます。

 

今回は、梅雨空の下、2020年6月13日(土)に訪問した

 

「ホキ美術館所蔵 超写実絵画の襲来@Bunkamura ザ・ミュージアム

 

です。2020/6/16現在、まだ開催中の展覧会です。(開催中の展覧会のブログを書くのは久しぶりです^^;)

 

これは写真なのか、絵画なのか。リアルなのかファンタジーなのか。写実絵画が向かう先に見えるものは。

普段、あまり目にする機会が少ない"超写実絵画"の世界。是非、驚いてみてください。

 

今回も最後までお読みいただけますと幸いです。

 

【目次】

 

※ 以下の記述は展覧会の解説、図録、パンフ、その他WEB上の資料等を参照の上、記述しております。また、絵画の写真は購入した展覧会図録・絵ハガキ、館内で撮影可能な作品を撮影しています。

 

1. 展覧会概要

(1) どんな展覧会か

 ホキ美術館は千葉県千葉市にある日本初の写実絵画専門美術館です。

今年で開館10年になりました。

www.hoki-museum.jp

 

ホキ美術館を創立された保木将夫氏は現在、医療用不織布製品等のメーカー・株式会社ホギメディカルの創業者。美術館は保木氏の写実絵画コレクション480点から成る「写実の殿堂」

また、美術館の建物は2011年の「日本建築大賞」にも選ばれています。

2019年の千葉県を襲った水害のため、現在は休館中ですが、その中から珠玉の作品達が渋谷の街を"襲来"しています。

 

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(2) 開催概要

 ・期間:2020/3/18(水) - 2020/5/11(月・休)

    ※ 新型コロナの影響で中断したため、2020/6/11(木)~6/29(月)再開

・時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)

・会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)

・チケット:一般 1600円、大学生・高校生 900円、中学生・小学生 600円

・作品数:68点

・写真撮影:入場口のパネルと出口前の小木曽 誠氏の作品一点のみ撮影可能でした。

・Webサイト:

(Bunkamura ザ・ミュージアムのページ)

www.bunkamura.co.jp

(3) パンフレット

(表面)

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(パンフの表紙は生島 浩「5:55」2007-2010 油彩/カンヴァス 130.3×80.3cm)

 

(見開き左面)
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(見開き右面)

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(裏面)

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(裏表紙の樹木は五味 文彦「いにしえの王は語る」2018 油彩/カンヴァス 162.1×112.1cm)

 

(4) 行くきっかけ

かねてより関心のあった写実絵画専門のホキ美術館さんを初めて訪ねて千葉まで行ってきたのが2016年5月1日。その時の衝撃は忘れられないものがありました。あまりにリアル。まさに"超写実"

あれから4年。その衝撃が渋谷でも見ることができる。「日経おとなのOFF」で情報を得て、見に行こう!と決めて前売券も買っていましたが、このコロナ禍で展覧会は中止に。また、いずれ千葉に行こうと思っていたところ、たまたま展覧会再開の情報をBunkamuraさんのWebで発見。見に行くことにしました。ほんとう、偶然だったのですが、行けて良かったです。

 

2. 展覧会の中へ

(1) 訪問日・混雑状況

訪問日:2020/6/13(土) 16:15頃訪問。

鑑賞時間:約60分

混雑状況:人はいますが、混んではいませんでした。入館時、検温、名前・連絡先(電話orメールアドレス)等を書いて提出してチケット購入へ。この時は十分に感覚を取りながら見ることができました。

 

  それでは美術館に入ります。

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(入り口では島村 信之「幻想ロブスター」2013 油彩/カンヴァス 原寸100.0×220.0cm

の大きなパネルが迎えてくれます)

 

(2) 展覧会の構成

画家毎にまとまって展示が行われています。作品には一つ一つ説明があります。そこには画家の超写実への思いが込められた文章も。

(ちなみに図録には説明はあまりありませんでした)

 

今回、展示されていた画家の方は以下のとおりです。(目録から。敬称略)

(1) 森本 草介(もりもと そうすけ)

(2) 青木 敏郎(あおき としろう)

(3) 中山 忠彦(なかやま ただひこ)

(4) 羽田 裕(はだ ひろし)

(5) 野田 弘志(のだ ひろし)

(6) 生島 浩(いくしま ひろし)

(7) 礒江 毅(いそえ つよし)

(8) 石黒 賢一郎(いしぐろ けんいちろう)

(9) 五味 文彦(ごみ ふみひこ)

(10) 島村 信之(しまむら のぶゆき)

(11) 大矢 英雄(おおや ひでお)

(12) 小尾 修(おび おさむ)

(13) 大畑 稔浩(おおはた としひろ)

(14) 原 雅幸(はら まさゆき)

(15) 安彦 文平(あびこ ふみひら)

(16) 冨所 龍人(とみどころ たつひと)

(17) 諏訪 敦(すわ あつし)

(18) 藤原 秀一(ふじわら しゅういち)

(19) 塩谷 亮(しおたに りょう)

(20) 廣戸 絵美(ひろと えみ)

(21) 松田 一聡(まつだ かずとし)

(22) 渡抜 亮(わたぬき りょう)

(23) 藤田 貴也(ふじた たかや)

(24) 三重野 慶(みえの けい)

(25) 山本 大貴(やまもと ひろき)

(26) 松村 卓志(まつむら たくじ)

(27) 鶴 友那(つる ゆうな)

(28) 小木曽 誠(おぎそ まこと)

 

目録にはそれぞれの画家についても説明があります。

 

  それでは、さっそく作品を見ていきましょう。

 

(3) 気になる作品

 

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(森本草介「横になるポーズ」1998 油彩/カンヴァス 65.1×65.5cm)

セピアがかった画面と温か味のある肌。体温を感じられそう。アングルの「グランド・オダリスク」を少し思い出します。ホキ美術館コレクション第1号の記念碑的作品。

 

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(青木 敏郎「レモンのコンフィチュール、芍薬、染付と白地の焼物」2013 油彩/カンヴァス 72.7×145.5cm)

「写実画とは、そのモチーフを如何にリアルに表現するかというよりも、画面のそこここに美意識が浮遊し滲み出てくるものでなければ、美の術、つまりは美術的表現になりません。そうでなければ、それは単なる図像でしかないと思うのです」(図録より画家のことば)

ここにも写実絵画への一つの思いが。

 


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(野田 弘志「聖なるもの THE-I」2009 油彩/パネル/カンヴァス 200.0×150.0cm)

現上皇、上皇后両陛下の肖像画を描き宮内庁に奉納された日本写実画会の牽引者。

「写実絵画で要になるのは「存在」ということです。あくまでも「存在」が描けなければ芸術になりえない。」とは作者の言葉。ここにも写実絵画への一つの思いが。

(ホキ美術館サイトから

野田弘志|収蔵作家と作品|ホキ美術館 HOKI MUSEUM )

 

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(五味 文彦「UTSUSEMI」2014 油彩/パネル/カンヴァス 162.1×162.1cm)

動物の剥製の毛並み等、非常に精緻に描かれています。この絵を見ながら思ったのは、この動物たちが「剥製」=「生きていない」ということ。この絵から感じた「死」。それを「生」と分けるものは何か・・・

 

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(生島 浩「card」2005 油彩/カンヴァス 116.7×90.9cm)

左のオブジェと光の差し込み方がフェルメールの「天文学者」を思わせる一枚。

 

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(原 雅幸「ドイル家のメールボックス」2012 油彩/パネル 80.4×60.7cm)

木の肌、茂る木々の葉、羊のいる牧場ものどかに。

 

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(藤原 秀一「ひまわり畑」2006 油彩/カンヴァス 60.6×72.7cm)

この溢れんばかりのひまわりの花。ひまわり畑の中を歩いているかのよう。

 

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(藤原 秀一「萩と猫」2009 油彩/カンヴァス 72.7×60.6cm)

こちらは絵ハガキから。クリアファイルも買いました。美しい花と何かを見据える猫の表情が愛らしく。

 

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(三重野 慶「信じてる」2016 油彩/パネル/カンヴァス 116.5×116.5)

絵の前に立つと、"彼女"は今にも動き出して、何か言い出しそう。写真では客観的過ぎてこういう気持ちにならないかもしれません。絵画の持つ「リアル」

 

そして最後に、この作品のみ撮影可能でした。


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(小木曽 誠「森へ還る」2017 油彩/テンペラ/カンヴァス 193.9×193.9cm)


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この少女たちは森の妖精のよう。会場の解説から

「自然災害を通じて、画家は人生の生死を考え制作することが多くなったという。」

巨木は佐賀と福岡の県境、佐賀市富士町にある樹齢千年の「下合瀬(しもおうせ)の桂」とのこと。「・・・巨木はいつも様々な表情を見せ、「生かされている」ことを画家に実感させてくれる。」(同じく解説から)


ということで、展覧会はここまで。

この他にも、もっともっと紹介したいのですが、今回はこの辺で・・・

 

出口を抜けてミュージアムショップへ。

 

(4) ミュージアムショップ

図録です。1980円。

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(表表紙)

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(裏表紙)

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絵ハガキは一枚132円。「萩と猫」はクリアファイルも買って495円。いずれも税込みです。

ちなみに、コロナ対策のため、展覧会のミュージアムショップ は出口を出てからエスカレータを昇った1Fにあります。

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3. さいごに

19世紀フランス。ギュスターヴ・クールベが「現実に見たものを描く」として始めた写実主義運動。そして、それは見たものを描くだけにとどまらず、その"存在"をも写し取り"再現"しています。ただ正確、ただ緻密だけにとどまらない"何か"が、われわれにただものを見る以上の"リアル"をつきつけてくるのかもしれません。そして"写実"であればあるほど、現実世界を軽々と飛び越える力を持ち得るのかもしれません。

 

超写実絵画。ヨーロッパではスペインでも盛んなようですが、また、日本とも成り立ちが違うようで、今度はこちらの方も見てみたいと思います。

 

  さて、最初に書きましたとおり、ホキ美術館は現在、昨年の水害の影響で休館中。

しかしながら2020/8/1~再開という、うれしい知らせが飛び込んできました。

最初の企画展はこちら

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森本草介さんの展覧会です。

是非とも千葉にも行きたいものです。

 

  ということで、今回のレポートは以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また、次のレポートもよろしくお願いいたします。

 

※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。

 

【おまけ】

会場にあったホキ美術館さんの紹介パンフレットです。建物の感じが分かります。もちろんカブトムシやクワガタムシは写真ではなく絵です。

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