ただの美術好き、よろコンです。
本ブログでは過去に見た展覧会も含め、気になる展覧会をレポートしていきます。
今回は、先週2021/6/6(日)、モンドリアン展を見た後に訪問しましたこちらの展覧会から
開館60周年記念展 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品 展 @ 六本木・サントリー美術館
です。
パンフの言葉「あなたの推し絵師きっといる!」
います、います。いっぱいいます(^^)
なんなら、ここに新たな出会いが。そんなバラエティに富んだ日本絵画がみんなで里帰り。きっと推し絵師がここにいる(はず)、そんな展覧会です。
今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会内の説明、パンフ、図録、その他WEB上の資料などの説明を参照の上、記述しております。なお、作品の写真はすべて撮影OKのため美術館で撮影しています。
1. 展覧会概要
(1) どんな展覧会か
ミネアポリス美術館
アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスの美術館。1883年創立
通称Mia(=ミア、Minneapolis Institute of Art)
ミネアポリスは五大湖の近く(地図の見た感じですが^^;)
なお、公式サイトはこちら
全所蔵9万点、そのうち日本美術は約9,500点。
今回の展覧会では、琳派、狩野派、やまと絵、浮世絵、さらには奇想の絵師たち。
中世から近代にいたるまでの様々な絵師の作品が集まり、これを見るだけも日本美術史を通覧できる、そんな気になる展覧会です。
(2) 開催概要
・期間:2021/4/14(水) - 2021/6/27(日) ※ 6/2から再開しています
・時間:10:00 - 18:00 ※ 時間予約不要(6/6訪問時点)
・会場:サントリー美術館(六本木)
※ 地下鉄・六本木駅から直結。東京ミッドタウンのガレリア3階にある、きれいな美術館。展示フロアは4階、3階に分かれています。
・チケット:一般1500円、大学・高校生1000円
・作品数:全92点ですが期間内で浮世絵に展示替えがあり約80点
・写真撮影:すべてOKでした。(フラッシュなどはNG。注意事項は要確認)
・Webサイト:
(美術館サイト)
(美術館入口)
(3) パンフレット
(表面)
(裏面)
(4) 行くきっかけ
確か、アートスケープで展覧会のチェックをしているときに見つけました。
展覧会の情報を見て、数多くの絵師の作品、それも、まだCOVID-19の影響のあるこの時期に日本に来られるんだぁ。これは行かなければと思い、行くことにしました。
(そうしたら、日本こそ展覧会が開けなかった^^;)
2. 展覧会の中へ
(1) 訪問日・混雑状況
訪問日:2021/6/6(日) 曇りときどき雨。14:00頃
鑑賞時間:約70分
混雑状況:人はいましたが混んでません。ゆっくり見られて良かったです。
では、いよいよ展覧会場に。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
展示作品は
からも確認できます。
美術館内の展示は次のような感じです。(写真がゆがんでいてすみません)
展示のテーマは展示の順に
・水墨画
・狩野派の時代
・やまと絵 -景物画と物語絵-
・琳派
・画壇の革新者たち
・浮世絵
・日本の文人画<南画>
・幕末から近代へ
です。
ということで、見てきた順に気になる作品をご紹介。
なお、今回は全作品撮影OKだったので実際の作品を掲載します。
(展示のガラスの反射で見ずらいところ など多々ありますがご容赦ください)
それでは早速「水墨画」から
展示室に入るといきなりこの六曲一双の屏風に圧倒されます。
(左隻)
(右隻)
雪村周継 「花鳥図屏風」 室町時代 16C
雪村周継は「せっそんしゅうけい」
作品は残るも、その生没年もはっきりしない謎の画家。1492年頃、常陸国、大名佐竹氏の出身だが禅僧となり絵を描いたと言われます。1589年頃没。
奇想の元祖。琳派の尾形光琳がこよなく愛し、あの紅白梅図屏風は雪村の絵を参考にしたと言われるほど。2017年春に東京藝術大学大学美術館で展覧会があり、この作品も来ていました。(見に行ってないですが^^;)
左隻の燕に白鷺
と思うといきなり右隻に巨大な鯉二匹
圧巻の奇想な展開に即"推し絵師"決定です。
続いても水墨画の屏風絵
(右隻)
(左隻)
山田道安「龍虎図屏風」室町時代 16C
波が海から伸びてきた手の指のようで、何かをつかもうとしているのではないかという迫力。山田道安(やまだどうあん)は武人画家で松永久秀が焼き払った東大寺大仏の修理の指揮を執ったとか。
お次は「狩野派」
探幽、山雪の素晴らしい屏風の大作がありましたが、この展示エリアではこちらの作品を。
清原雪信「飛天図」江戸時代 17C
「きよはらゆきのぶ」は国宝「納涼図屏風」の作者・久隅守景(くすみもりかげ)の娘、狩野探幽は大叔父。狩野派随一の女性絵師です。優美な天女が軽やかに天を舞います。
続いて「琳派」からは
酒井 抱一「楸に鷦鷯図」江戸時代 19C
作品は「きささぎ に みそさざい ず」と読みます。画面中央の木は楸、画面下の鳥が鷦鷯。花は山茶花。趣ある花鳥画です。江戸琳派・抱一の優品
さて4階から3階に降りていきますと
ここは「画壇の革新者たち」
奇想が競う・・・(- -)
(右隻)
(左隻)
伊藤 若冲「鶏図押絵貼屏風」江戸時代 18C
もう若冲の代名詞ともいえる鶏の絵。鶏一羽一羽に人のような個性が宿って、その動き、いつまでも見ていられるようです。
さて、わたしは、どこにいるでしょう?
そして、こちらも奇想の旗頭
(右隻)
(左隻)
曽我蕭白「群鶴図屏風」江戸時代 18C
こちらは鶴。穏やかな親子鶴の戯れに、荒れ狂う波に毅然と対峙する鶴。同じ屏風に描かれる緊張と緩和。
迫力の波と鬼気迫る鶴の眼。
そして、こちらは昔忘れられていた絵師
横山華山「蘭亭曲水図屏風」江戸時代 19C
迫力ある岩肌とそこに集まる人々の穏やかな雰囲気の対比が妙。
横山華山も私の"推し絵師"です。
蘭亭曲水(らんていきょくすい)は永和九年(353)三月三日、浙江省の蘭亭に王羲之が文士41人を集めて禊を行ったという故事によるもの。王羲之の「蘭亭序」(らんていじょ)はこの時に読まれた詩集の序文で書道史に残る最高傑作と言われます。
さて、ここから「浮世絵」
浮世絵は北斎、広重、写楽の市川蝦蔵と名品並ぶ中で、この一枚
喜多川 歌麿「青樓六家選 大文字屋 人もと」江戸時代 1801~2頃
六人の名高い遊女を描いた揃物。煙管片手にどことなくくつろいだ感じが好きです。
さて、最後は「幕末から近代へ」
柴田是真「漆絵画帖」1887
「しばたぜしん」
漆工家でもあり、絵師でもある。画面中央に笹にかぶる雪の奥から覗く虎。小さいながらも非常に精緻な作品だと思います。この方、2018年にホノルル美術館に行ったときに作品が多く展示されていて、そこで初めて知りました。芸大コレクション展で柴田是真の明治宮殿天井画下図修復完成披露をやっていて、これも見に行きました。今確認すると、この2つの出来事はともに2018年11月の一週間程度の間に起きた出来事のよう。そこまでは覚えていなかったですねぇ(^^;)
隠れ”推し絵師"なので、これからもっと出てくるのではと期待しています。
そして、最後は、今年注目の絵師
渡辺省亭「紫式部図」明治時代 19-20C
芸大美術館での展覧会は残念ながら会期途中で臨時休館に入ったまま終わってしまいましたが、ここ数年では注目の絵師です。灰色の風景に手前には濃淡の違う緑。そして鮮やかな赤い袴が際立つ紫式部。何か物思いにふけるところでしょうか。
ということで、日本絵画を総ざらいした気分で会場を出ます。
(3) ミュージアムショップ
ミュージアムショップがあります。今回は図録を購入です。
図録 2,500円
これだけバラエティに富んだ展覧会の図録ですから、中身も充実した内容です。
3. さいごに
このほかにも・・・
狩野探幽のかわいい笛吹地蔵、三畠上龍のちょいグロ覗き見浮世絵、細川林谷のヘタウマ文人画、暁斎のオモシロ絵に青木年雄のロックな鐘馗図。(私の勝手な解釈ですが)
驚きもあり、ユーモアもあり、勇壮でもあり、そして美しくもありといった作品が集結。大変、見ごたえある日本絵画の展覧会でした。ぜひ、生で見に行かれることをお勧めします。
それでは、関連リンクです。
奇想の絵師
横山華山
本展でも作品のあった狩野芳崖
少しですが柴田是真の作品も
最後はこの展覧会の前に見た展覧会
今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。
東京ミッドタウン、明るく光が差し込んで居心地良いです。