ただの美術好き、よろコンです。
本ブログでは過去に見た展覧会も含め、気になる展覧会をレポートしていきます。
今回は、いつも魅力ある企画の展覧会が印象的なこちらの美術館さんから
デミタスカップの愉しみ 展 @ 渋谷・渋谷区立松濤美術館
です。
渋谷駅からは少し離れたところにある美術館。渋谷の喧騒が嘘のような静かで瀟洒な美術館ですが、フランシス・ベーコン(COVID-19で途中閉幕)のように攻めた展覧会も開催されています。春先の南薫造展以来の訪問。小さなカップが宝石のような輝きを放つ展覧会。
あと一週間です。(10/2記述)
ということで、今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会内の説明、パンフ、その他WEB上の資料などの説明を参照の上、記述しております。なお、作品の写真はパンフレットおよび撮影可能な作品を撮影しています。
1. 展覧会概要
(1) どんな展覧会か
デミタス
フランス語で「demi=半分の」「tasse=コーヒーカップ」
デミタスとは「小さいコーヒーカップ」という意味。
デミタスコーヒーとか何気なく缶コーヒーを飲んでいましたが、そういう意味だったとは知りませんでした。デミタスに入れるコーヒーは少し濃いめ、苦めのエスプレッソなどが多いようです。
デミタスが登場した19世紀ヨーロッパでは中産階級が勃興、コーヒー文化が浸透する中でいろいろな焙煎・抽出技術が発展、多様なコーヒーの楽しみ方が生まれました。
また、ヨーロッパで憧れの東洋磁器。中国磁器や日本の伊万里に人気が集まるなか、18世紀初頭ついにドイツ・マイセンがヨーロッパ初の硬質磁器製作に成功。磁気製品の製作がヨーロッパでも盛んになります。
そんな歴史の結晶でもあるデミタスカップ。とにかく宝石のようなデミタスカップを堪能できる展覧会。2000点以上のデミタスカップを有するコレクターとして名高い村田和美さんのコレクションからです。
(2) 開催概要
・期間:2021/8/24(土) - 2021/10/10(日)
・休館日:月曜日
・時間:10:00 - 18:00(入館は17:30まで) ※ 土日、10/5以降は日時指定制
※ すでに埋まっている枠もありますので、予約はお早めに
・会場:渋谷区立松濤美術館(渋谷・神泉)
※ JR渋谷駅から15分くらいでしょうか。東急Bunkamuraのさらに奥に歩いたところにある美術館です。白井晟一氏の設計の外観を見た時、住宅街に突然舞台が現れたような良い意味で驚きを覚えますが、とても周囲ともマッチしたきれいな美術館です。
・チケット:一般800円、大学生:640円、高校生・60歳以上:400円、小中学生100円
・作品数:388点(作品リストから)
(作品リスト)
https://shoto-museum.jp/wp-content/user-data/exhibitions/193demitasse/list.pdf
・写真撮影:NGです。
(美術館サイト)
東急Bunkamuraの前の坂を上って(これは帰りに取った写真ですが^^;)
角を右に曲がると白井晟一氏設計の瀟洒な美術館
(3) パンフレット
https://shoto-museum.jp/wp-content/user-data/exhibitions/193demitasse/leaflet.pdf
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/wp-content/uploads/2021/08/kuniyoshi-flyer.pdf
いつもだと、パンフレットの写真を掲載するのですが、パンフレットの写真のデミタスカップがきれいなので、今回は気になる作品の方に。
(4) 行くきっかけ
デミタスカップの愉しみ展は京都、群馬と巡回していて、群馬展のときにたまたま見つけて「行きたい」と思いました。それで、よく見たら渋谷の松濤美術館に巡回するとのこと。渋谷に来るのを待っての訪問です。
2. 展覧会の中へ
(1) 訪問日・混雑状況
訪問日:2021/9/11(土) 晴れてはいるけど雲多し。原宿で国芳展を見た後に訪問。16:45頃訪問
鑑賞時間:60分弱
混雑状況:けっこう、人いました。デミタス、人気ですね。
では、いよいよ美術館の中に。
こちら、2階、地下1階に展示室があります。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
構成は次の通りです。
第1部 デミタス、ジャポニスムの香り
1章 シノワズリの流行 ※ シノワズリ=中国趣味の美術様式
2章 ジャポニスム
1節 花鳥
2節 梅、桜
3節 植物と昆虫
4節 文様など
5節 IMARI
3章 日本製のデミタス
4章 アール・ヌーヴォーへ
5章 アール・デコのデミタス
第2部 デミタス、デザインの大冒険
1章 ガラス製のデミタス
2章 機能のかたち
3章 装飾のかたち
4章 かたちのお花畑
5章 これなに?のかたち
6章 華やぐ技巧
7章 覗いて愉しむ
8章 デミ・デミ・パーティー
9章 デミタスの愉しみ、デミタスの喜び
+参考出品
です。
それでは、会場の中へ。
気になる作品ですが、今回はパンフレット、チケットに多くの作品が掲載されていますので、そちらをご覧ください。
(パンフ表面)
(裏面)
(チケット)
そして、ミュージアムショップ前に撮影可能な作品が3点
右のガラスの作品から
サルヴィアーティ(Salviati) イタリア 1800年代
カール・クノール(Karl Knoll) チェコ 1916-1918年頃
コールポート(Coalport) イギリス 「金プラチナ彩菊花文 カップ&ソーサー 1881-1890年頃
会場にはこのほかにもコップのフチ子さんを思い出させるような取っ手が小さな人の形にデザインされた作品。指で押しただけで割れてしまうのではないかと思わせるほどソーサーに穴が開けられていて、その影をも美しく愉しめる作品。本当に多様な作品がありました。私はパンフ表面右下の小さなマイセンのスノーボール等、目に留まりました。でも、これだと飲みにくいかなぁ(^^;)
デミタスカップは小さいので、単眼鏡を持たれている方、単眼鏡を使うとよく見られます。(私も最近、買いました^^)
自分の生活にもこんな宝石のようなカップ欲しいなぁ。カップでコーヒーを飲む朝をちょっと想像したくなる、そんな展覧会でした。
では、美術館の外に出ます。
(3) ミュージアムショップ
展示室入口にかなりのスペースで関連グッズが販売されています。今回は購入はしませんでしたが、図録や小さなカップなど、いろいろあって、見ていても楽しいです。
3. さいごに
コレクターの村田和美さんはこれらのデミタスカップを集めてしまっておくのではなく、実際に使われているということ。展覧会の解説に書かれていたと思います。
こういういわゆる「生活用品」って、やっぱり使うからこそ良いのだと思います。使うからこそ、生活が豊かになり、生活を豊かにしたいからこそ美しさを求めたい。だからこそ「美しさ」は生きるために必要であり、求められるのでしょうね。
ただ高いというだけではなく、「美しいもの」「好きなもの」に囲まれて生活を潤したいものです。
それでは、さいごに関連リンク
こちらはマイセンの動物です。
こちらはラリック
デミタスの前に見ました
今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
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(帰ったら、なぜか家の前で花火大会が。どこで上げていたんだろう^^;)