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【展覧会】ルネ・ラリック リミックス 時代の インスピレーションを もとめて 展@目黒・東京都庭園美術館のレポート(2021/8/12訪問)

ただの美術好き、よろコンです。

 

本ブログでは過去に見た展覧会も含め、気になる展覧会をレポートしていきます。

 

今回は、三連休もあったのにその直後に取った8月の夏休み。その初日(2021/8/12)に訪れましたこちらの展覧会から

 

ルネ・ラリック リミックス 時代の インスピレーションを もとめて @ 目黒・東京都庭園美術館

 

です。

 

RENE LALIQUE REMIX SEARCHING FOR INSPIRATION IN THE TIMES

@ TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM

 

「ラリック展を開くならここでしょ」というくらい作品と美術館がマッチした展覧会。そもそも東京都庭園美術館は旧朝香宮邸。重要文化財にも指定された日本を代表するアール・デコ建築。建築当初からラリックの作品が飾られていました。

いろいろな美術館で見てきたラリックももちろん素晴らしいのですが、今回はこの美術館のためにあるような展覧会。作品と展示空間をトータルで楽しめる納得の展覧会です。

 

ということで、今回も、最後まで、お読みいただけますと幸いです。

 

【目次】

 

※ 以下の記述は展覧会内の説明、パンフ、図録、その他WEB上の資料などの説明を参照の上、記述しております。なお、本展は基本的に撮影可能でしたので、撮影可能な箇所を撮影しています。

 

1. 展覧会概要

(1) どんな展覧会か

ルネ・ラリック(1860-1945)はフランスのシャンパーニュ地方に生まれたジュエリー作家でガラス工芸家。

ジュエリー作家時代は宝石のためにデザインするのではなく、作品の一部に宝石を組み込むという独自のスタイルで一世を風靡。その後、作品は宝石からガラス工芸へと移り、香水瓶など生活に身近なところに芸術を浸透させていきます。

ラリックの活躍していた頃、パリでは植物や昆虫などの自然を曲線的に優雅に描いたアール・ヌーヴォー、その後の工業化による大量生産が進む中で直線的でシンプルなデザインを多用したアール・デコと美の潮流も移り変わっていきます。

生まれ故郷の豊かな自然、宝石からガラス、そしてアール・ヌーヴォーからアール・デコへ、ラリックがインスピレーションを得て、”REMIX"しながら作り上げた装飾芸術の世界に迫る展覧会です。

 

(2) 開催概要

 ・期間:2021/6/26(土) - 2021/9/5(日)

 ・休館日:月曜日(ただし7/26、8/2、8/9、8/30は開館)

 ・時間:10:00 - 18:00(入館は17:30まで)

 ・会場:東京都庭園美術館(目黒)

※ 目黒駅から5分ちょっとくらいでしょうか。山手線の内側の方、道路沿いのお店と展覧会のフラッグを見ながら少し大きめの交差点に出てくると森が見えます。この森の中に美術館があります。駐車場(1回1500円)もあるようですが、電車で来ました。

 ・チケット:一般1400円、大学生1120円、中学・高校生および65歳以上700円(日時予約制)

 ・作品数:127点(デザイン画、写真などを含む)+関連資料

 ・写真撮影:OKでした。

 ・Webサイト:

www.teien-art-museum.ne.jp※ ギャラリートークの動画のリンクもあります。

 

(美術館サイト)

東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM

 

(目黒駅から美術館に行くまでの道でのフラッグ)

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(美術館入口の門。門を入ってすぐ左にチケット売り場もあります)

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(美術館=旧朝香宮邸)

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(左のテントは荷物検査です)

 

(3) パンフレット

(表面)

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(裏面)

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(4) 行くきっかけ

ルネ・ラリックとか、エミール・ガレとかヨーロッパの工芸の展覧会が好きで展覧会があると見に行っています。箱根のルネ・ラリック美術館も2回行きました。美術館のサイトで今後の開催予定を見たときにこの展覧会を見つけて、行こう!と決めました。なお東京都庭園美術館さんも大好きです。

 

2. 展覧会の中へ

(1) 訪問日・混雑状況

訪問日:2021/8/12(木) 曇り、雨が降ったり止んだり。16:00頃

鑑賞時間:約60分 + 庭を10分ほど散歩

混雑状況:平日、日時予約制のため混んではいませんでしたが、それでもそれなりに見に来ている人はいました。会期末に向けて混むかもしれません。

 

(展覧会場のコース)

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では、いよいよ美術館の中に。

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(入口にラリック。朝香宮邸正面玄関扉ガラス・レリーフ・パネル 1933)

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

構成は次の通りです。

 

1. イントロダクション:ルネ・ラリックと朝香宮邸

(INTRODUCTION:RENE LALIQUE AND THE RESIDENCE OF PRINCE AND PRINCESS ASAKA)

 

2. ルネ・ラリックのジュエリー

(JEWELRY BY RENE LALIQUE)

 

3. 複数の自然

(MULTIPLE FACETS OF NATURE)

 

4. 古典の再生

(THE REBIRTH OF ANTIQUITY)

 

5. エキゾティシズムとモダニティ

(EXOTICISM AND MODERNITY)

 

6. 女性たちのために

(FOR THE WOMEN OF THE WORLD)

 

7. 装飾の新しい視点を求めて

(TOWARD NEW RELATIONSHIPS WITH DECORATION)

 

では会場に。

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気になる作品ですが、

 

「2. ルネ・ラリックのジュエリー」から

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ペンダント「バラ」(オパール、透脂七宝、ダイヤモンド、金、ガラス)1900

 

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ネックレス「葉飾り」(金、ガラス、透脂七宝)1910

 

「3. 複数の自然」から

こちらは食堂、シャンデリアは「パイナップルとザクロ」

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テーブルウェア「ニッポン」(透明ガラス、プレス成型、サチネ、ブロンズ台に照明内蔵)1930

 

※ サチネ=ガラスの表面が曇ったように加工することです。ラリック作品ではよく利用されています。


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テーブル・センターピース「三羽の孔雀」(透明ガラス、プレス成型、サチネ、ブロンズ台に照明内蔵)1920


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常夜灯「ツバメ」、ほや「つむじ風」(透明ガラス、型吹き成型、装飾板はプレス成型、サチネ、仮面文様のベークライト製照明台付)1919

 

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平鉢「金魚」(オパルセント・ガラス、プレス成型)1921

 

※ オパルセント・ガラス=オパールのような乳白色で半透明のガラス。これもラリック作品ではよく見られます。


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櫛/ティアラ「二色のヤナギ」(角、エナメル、トパーズ、金)1903

 

二階に上がって・・・

 

「4. 古典の再生」から

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花瓶「バッカスの巫女」(オパルセント・ガラス、プレス成型、パチネ)1927

 

※ パチネ=一般にアラビアゴムを主体とした液に顔料を溶かした物で、顔料を含んだ溶液を乾燥後ガラス素地の表面にしっかりと固着し、 浮彫装飾のディテールを際立たせるために使われます。こちらもラリックが得意にしていたとか。

 

「5. エキゾティシズムとモダニティ」から

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花瓶「オレンジ」(透明ガラス、型吹き成型、サチネ)1926

 

 「6. 女性たちのために」から

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シガレットケース「ねこ」(透明ガラス、プレス成型、サチネ、パチネ)

 

こんなシガレットケース、欲しいです。入れるならタバコじゃないもので。

 

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最後は新館に向かい

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「7. 装飾の新しい視点を求めて」から

 

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電灯式多枝型燭台「ロワトレ(キクイタダキ)」(透明ガラス、型吹きプレス成型、サチネ、電球)

 

  電灯の光がガラスに反射し、永遠と続いていくのが、ちょっとおもしろかったです。


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立像「噴水の女神、メリト・アリアンヌ・ガラテ(左から)」(透明ガラス、プレス成型、サチネ、パチネ)1924

 

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参考資料:雑誌「イリュストラシオン」現代装飾美術・産業美術国際博覧会特集号 1925

 

いわゆる「アール・デコ展」の特集号です。

 

そして最後は

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装飾パネル「泉」(透明ガラス、プレス成型、裏に銀引き加工、サチネ、パチネ)1912

 

パリ1区レ・アール地区にあるルネッサンスの彫刻家ジャン・ゲージョン作の高浮彫「イノサンの泉」の壺を抱えるニンフに着想を得た作品。フランス・ルネッサンスに特長的だったマニエリスムを代表するゲージョンの作品は後世の古典再来の潮流の中でたびたび参照されているそうです(作品解説より)

 

今回は、館内を回っている雰囲気も伝わればと思い、館内の途中の写真もはさんでみました。

 

では、美術館の外に出ます。

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館内の扉。アール・デコのデザイン。2種類のデザインを向き配置を変えて複雑に見せているのが大量生産から芸術を作り出すまさにアール・デコな感じです。

 

(3) ミュージアムショップ

ミュージアムショップは新館にあります。新館にはレストランもあります。

キレイなので、是非立ち寄ってみてください。(今回は見るだけでした)

 

3. さいごに

ラリック。いつ見ても良いです。

最初にラリックのジュエリーの作品を見た時、「ジュエリーのためのデザイン」ではなく、「デザインの中にあるジュエリー」という発想に強い衝撃を受けたのを覚えています。そして、制作はガラスへと移り、生活の中に芸術を取り込んだことにも関心を持ちました。これからもラリック展、追いかけたいと思います。

 

さて、こちらの美術館。「東京都庭園美術館」というくらいですから、もちろん庭園散を歩くのもおススメです。庭園の中に現代彫刻の作品もあったりして。ぜひ、美術館とあわせてこちらも行ってみてください。都会でマイナスイオンを。

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ではまた、展覧会、行ってきます。

 

それでは、さいごに関連リンク

 

こちらは練馬で見たのラリック。こちらは「エレガンス」

www.yorocon46.com

庭園美術館で開催されたパリつながりの展覧会です。

www.yorocon46.com  

   今回のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また、次のレポートもよろしくお願いいたします。

 

※ ご意見、ご感想、大歓迎です。是非コメントかメール(yorocon46@gmail.com)まで。ツィッターは@yorocon46です。 

 

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(雨に濡れた庭園の花)