よろコンです。
本ブログでは見て来た展覧会の個人的な感想を書いています。
今回は、2024年1月3日(水)、今年初めて見に行った展覧会
パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ
@上野・国立西洋美術館
です。
キュビスム・レボリューション
美の一大革命の発生前夜から、勃発、そして革命以降を丁寧にたどる展覧会でした。
今回も最後までお読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会の解説、図録、パンフ、その他WEB上の資料等を参照の上、記述しております。また、撮影可能な作品について展覧会で撮影した写真を掲載しています。
1. 展覧会情報
(1) 開催概要
・会場:国立西洋美術館
・期間:開催中(2023/10/3(火)) - 2024/1/28(日)
・時間:9:30~17:30(入館は閉館30分前まで)
※ ナイトミュージアム:金・土曜は20:00(入館は19:30)まで
・休館日:月曜日
・チケット:一般 2,200円、大学生 1,400円、高校生 1,000円(中学生以下無料)
・作品数:パリ・ポンピドゥーセンターの日本初出品50点を含む112点
・写真撮影:大多数の作品がOK(NGの作品もあるので注意を)
・関連リンク:
1) 展覧会
2) 美術館
(2) 訪問日・混雑状況
訪問日:2024/1/3(水) 14:00頃訪問
鑑賞時間:約90分
混雑状況:人は多かったです。チケット売り場も並んでいました。Webなどでの事前購入がおススメです。中も混んでいましたが、すし詰めではなかったので、それなりに見ることはできました。(会期末に向けてさらに混みそうですが)
(3) どんな展覧会?(個人的に)
いくつもの自分の見た視点を一つの画面にまとめ上げたセザンヌ。
そのセザンヌの影響を強く受けたパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックの下、20世紀の初頭に生まれ出た"キュビスム"
ブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と揶揄されたことが由来とのこと。
対象を上下左右、表裏と「多視点」から捉え画面に「再構成」した作品は美術の新たな世界の扉を開きました。
絵画史上最大の"革命"とも言えるキュビスム。50年ぶりの大展覧会です。
2. 会場へ
(1) 構成
1 キュビスム以前-その源泉 | Sources of Cubism
2 「プリミティヴィスム」 | "Primitivism"
3 キュビスムの誕生 - セザンヌに導かれて | Cezanne as a Role Model
4 ブラックとピカソ - ザイルで結ばれた二人(1909-1914) | The Braque-Picasso "Mountain Rope"(1909-1914)
5 フェルナン・レジェとフアン・グリス | Fernand Leger and Juan Gris
6 サロンにおけるキュビスム | Cubism at the Salons
7 同時主義とオルフィスム - ロベール・ドローネーとソニア・ドローネー | Simultanism and Orphism: Robert and Sonia Delaunay
8 デュシャン兄弟とピュトー・グループ | The Duchamp Brothers and the Puteaux Group
9 メゾン・キュビスト | The Maison Cubiste
10 芸術家アトリエ「ラ・リッシュ」 | La Ruche
11 東欧からきたパリの芸術家たち | Artists from the East in Paris
12 立体未来主義:Cubo-Futurism
13 キュビスムと第一次世界大戦 | Cubism during the Great War
14 キュビスム以降 | After Cubism
(2) 気になる作品
1 キュビスム以前-その源泉 | Sources of Cubism から
ポール・セザンヌ「ポントワーズの橋と堰」1881年
この人からキュビスムが芽吹いた?!
2 「プリミティヴィスム」 | "Primitivism" から
パブロ・ピカソ「女性の胸像」1907年6-7月
キュビスム直前
3 キュビスムの誕生 - セザンヌに導かれて | Cezanne as a Role Model から
ジョルジュ・ブラック「レスタックの高架橋」1908年初頭
南仏プロヴァンス、セザンヌがたびたび訪れた町
いよいよキュビズム誕生
4 ブラックとピカソ - ザイルで結ばれた二人(1909-1914) | The Braque-Picasso "Mountain Rope"(1909-1914) から
パブロ・ピカソ「肘掛椅子に座る女性」1910年
この人は前を見ている?横を見ている?どう見えますか?
少し進んで
7 同時主義とオルフィスム - ロベール・ドローネーとソニア・ドローネー | Simultanism and Orphism: Robert and Sonia Delaunay から
ロベール・ドローネー「パリ市」1910-1912年
高さ267cm、幅406cmの大作。三美神?にパリの街。エッフェル塔も
色も鮮やかに華やかに
8 デュシャン兄弟とピュトー・グループ | The Duchamp Brothers and the Puteaux Group から
フランティシェク・クプカ「色面の構成」1910-1911年
色のキュビスム
9 メゾン・キュビスト | The Maison Cubiste は・・・
10 芸術家アトリエ「ラ・リッシュ」 | La Ruche から
コンスタンティン・ブランクーシ「眠れるミューズ」1910年
彫刻のキュビスム
11 東欧からきたパリの芸術家たち | Artists from the East in Paris から
エレーヌ・エッティンゲン「無題」1920年頃
心のキュビスム
13 キュビスムと第一次世界大戦 | Cubism during the Great War から
アルベール・グレーズ「戦争の歌」1915年
14 キュビスム以降 | After Cubism から
フェルナン・レジェ「タグボートの甲板」1920年
キュビスム以降は純粋な機能性、幾何学的秩序「機械の美学」を求める「ピュリスム」(純粋主義)が起こり、ル・コルビュジエの建築などへとつながっていきます。
そして、現代でも美術のみならずあらゆるところに影響し続けているキュビスム。
この展覧会が世界を見る新しい視点を与えてくれるきっかけになる、かもしれません。
とても興味深く示唆に富んだ展覧会でした。
この後、常設展を見て、事前に図録付きチケットを買っていたのでミュージアムショップで図録を受け取り、荻窪の「なごみの湯」へと向かいました。
3. さいごに
詩人ギヨーム・アポリネールの言葉
キュビスムは「模倣の芸術ではなく、創造にまで高まろうと目指す概念(コンセプション)の芸術である」
目の前にあるものの形状を多視点から捉え再構築したキュビスムはその後、色を、街を、時代を、顔を、心を、多視点で捉え再構築し、画面へと展開していきます。
一目見てその形状に大きな違和感、もしかしたら少し受け入れにくい距離感を感じるかもしれませんが、よくよく考えると普段の私たちの認識の仕方を絵にしているのかもしれません。そういう意味ではいちばん自然でリアルな絵なのかも。だからこそ今でも強烈に影響を持ち続けられている、展覧会を見てそんなことを思ってみました。
【巡回情報】
本展覧会は東京展の後、2024/3/20~7/7まで京都市京セラ美術館で開催されます。
京都市京セラ美術館 | 京都市京セラ美術館 公式ウェブサイト
久しぶりに書いた2024年の展覧会情報はこちら
ということで、今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
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(今年も狙いを定めて展覧会へ)