展覧会に行きたい!よろコンです。
本ブログでは見て来た展覧会を個人的にレポートします。
今回は、2023年3月16日(木)に見て来た
マリー・ローランサンとモード 展 @渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアム
です。
第一次世界大戦が終わった後の"狂騒の時代(レザネ・フォル)"に芸術・モードそれぞれの分野で確かな足跡を残したマリー・ローランサンとココ・シャネル。新しい時代、女性が社会進出する時代の先頭を駆け抜けた二人の女性。その作品を通じて当時のパリの空気を感じる展覧会でした。
今回も最後までお読みいただけますと幸いです。
【目次】
※ 以下の記述は展覧会の解説、図録、パンフ、その他WEB上の資料等を参照の上、記述しております。また、撮影可能な作品について展覧会で撮影した写真を掲載しています。
1. 展覧会情報
(1) 開催概要
・期間:2023/2/14(火) - 4/9(日)
・時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
※ ナイトミュージアム:金・土曜は21:00(入館は20:30)まで
・休館日:なし(3/7のみ休館)
・チケット:一般 1900円、高校・大学生 1000円、中・小学生 700円
・作品数:マリー・ローランサンの作品を中心に90点超
・写真撮影:一部OK(3/26まで撮影可能な作品追加中)
・美術館:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷駅)
(2) 各種リンク等
・美術館サイト
それでは中に入りましょう。
2. 鑑賞
(1) 訪問日・混雑状況
訪問日:2023/3/16(木) 16:20頃訪問
鑑賞時間:約60分
混雑状況:ゆっくり快適に見られました。
(2) 構成
I. レザネ・フォルのパリ
- ローランサンとパリ社交界の女性たち
- エティエンヌ・ド・ボーモン伯爵の舞踏会
- シャネルを身にまとう社交界の女性たち
※ 第一次大戦後のレザネ・フォルに登場したローランサンとシャネル。華やいだ社交界の女性たちを二人の作品、マン・レイの写真などからうかがいます。
II. 越境するアート
- ローランサンとバレエ・リュス「牝鹿」
- シャネルとバレエ・リュス「青列車」
- ローランサンと装飾芸術
- ローランサンとニコル・グルー
- アール・デコ博1925
※ ピカソら、国を越えてパリに集まる芸術家たち。そのパリで美術、音楽、文学、ファッションとジャンルを越えて新たな芸術が生み出される。ここではバレエの舞台の映像なども通してローランサンやシャネルの他ジャンルとの関りを見ていきます。そして、当時の美術にも大きな影響を与えたアール・デコ展についても触れます。
III. モダンガール登場
- 1910年代:ポワレからシャネルへ
- シャネルの帽子店
- ローランサンと帽子の女たち
- 1920年代:モダンガールの登場
- 1930年代:フェミニンへの回帰
※ 1920年代、戦争がおわり女性が社会へと進出した時代。帽子のデザイナーからスタートしたシャネルはより活動的で実用的なデザインで時代を先取りしていきます。そんな時代の女性を描いたローランサン。やがて1930年代へ入ると世界恐慌、ファシズム台頭などの不安な情勢から古典回帰の風潮に。そんな時代の移り変わりの中での作品の変化を見ていきます。
エピローグ:蘇るモード
※ 最後は30年以上シャネルのデザイナーを務めたカール・ラガーフェルドのファッション。ローランサンの色彩にも影響を受けたとのこと。そんなシャネルとローランサンが融合したモードの世界が展開します。
(3) 展覧会風景
マリー・ローランサン(1883年~1956年)
パリ生まれ。ジョルジュ・ブラックやピカソの影響を受けキュビズムに傾倒するも、やがてパステル調の色遣いでエコール・ド・パリの画家たちの中でも異色の存在に。1920年代のレザネ・フォルでは彼女に肖像画を描いてもらうことが流行に。時代の寵児となります。
ココ・シャネル(ガブリエル・シャネル、1883年~1971年)
農業中心のフランスはメーヌ=エ=ロワール県生まれ。帽子のデザインから始まり、革新的なデザインでリトル・ブラック・ドレス等、今につながるスタイルを確立。こちらも時代の寵児となります。
同じ年生まれの二人が生きた1920年代のパリで芸術、モードなどが絡み合う"新しい時代"を感じる展覧会です。
それでは作品を
「I. レザネ・フォルのパリ」から
マリー・ローランサン「わたしの肖像」1924年
41歳の時の自画像
マリー・ローランサン「マドモアゼル・シャネルの肖像」1923年
パリ、オランジュリー美術館から
成功したシャネルがその証として流行画家のローランサンに依頼した肖像画。でも出来が気に入らないシャネルはローランサンに描き直しを要求。それを受け入れなかったローランサン。受け取りを拒否したシャネル。結局この絵はシャネルは手にしなかったよう。後になってからのローランサンの一言「シャネルはいい娘だけど、オーヴェルニュの田舎娘よ。あんな田舎娘に折れてやろうとは思わなかったよ」
「II. 越境するアート」の「ローランサンと帽子の女たち」から
マリー・ローランサン「日よけ帽をかぶって立つ女」1912年
マリー・ローランサン「帽子の乙女」1923年
マリー・ローランサン「羽飾りの帽子の女、あるいはティリア、あるいはタニア」1924年
マリー・ローランサン「白い羽飾りの黒帽子をかぶった乙女」1915年
マリー・ローランサン「青と黒の帽子をかぶった少女」1913-14年
初期のころは少しキュビズム的な影響が覗えます。絵の受け取りは拒否されましたがシャネルのデザインした帽子をかぶる女性たちをローランサンは描き続けていました。
「III. モダンガール登場」から
マリー・ローランサン「シャルリー・デルマス夫人」1938年
背景に建物、樹木があり奥行きを感じさせる作品はローランサンには珍しいとのこと。色調もこれまでと異なりはっきりしており、世界恐慌から次の戦争へと向かう不安定な時代の中、古典回帰な作品。
マリー・ローランサン「ばらの女」1930年
そして最後「エピローグ」から
マリー・ローランサン「ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン」1922年
カール・ラガーフェルド、シャネル「黒いサテンのリボンが付いたピンクのフェイユ・ドレス 2011年春夏オートクチュール コレクションより」2011年
カール・ラガーフェルド、シャネル「ピンクとグレーの刺繍が施されたロング・ドレス2011年春夏オートクチュール コレクションより」2011年
カール・ラガーフェルドはシャネルのスタイルにローランサンのパステル調のピンクをあわせて二人の世界を融合しました。ここにレザネ・フォル再来
とても明るくて華やいだ展覧会でした。この頃のパリ、憧れます。
それでは、展覧会を出ます。
(4) ミュージアムショップ
今回は絵はがきを購入。165円/枚(税込み)
左:マリー・ローランサン「黒いマンテラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像」1923年ごろ
右:マリー・ローランサン「ピンクのコートを着たグールゴー男爵夫人の肖像」1923年ごろ
この絵がローランサン"ブーム"の火付け役に
3. さいごに
シャネルの言葉
「モードは死ななければならない」
時代の感性を反映するモードは時代の移り変わりとともにその「死」を迎えます。
また、シャネルの言葉「
シャネルはスタイル。ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠」
時代を越えても色あせないローランサンの芸術とシャネルのスタイル。
その二つが現代の渋谷の美術館で融合してレザネ・フォルのパリの空気を再現しているかのようです。明るく、華やいだ展覧会。お花見のように淡いピンクに包まれてみませんか。
なお、多くの作品が日本のマリー・ローランサン美術館の所蔵。写真の作品もシャネルの絵以外はマリー・ローランサン美術館。現在、美術館はありませんが、作品の貸し出しなどで活動中。また、美術館が開かれると良いのですが。
それでは、さいごに関連リンクです。
3月の展覧会情報はこちら
展覧会の紹介1(来週4/2まで)
展覧会の紹介2(明日3/26まで)
ということで、今回のレポートは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次のレポートもよろしくお願いいたします。
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(渋谷の夜の空の飛行機。最近の飛行機は高度が低い)